猫トイレの実験で分かった 猫が選ぶ理想のトイレ環境とは?おすすめのトイレのサイズ、形状、置き場所を紹介!

おうちの猫ちゃんは、今のトイレに満足していますか? 猫はトイレについてかなり「こだわり」があることが、トイレに関する実験でも分かっています。

もし、愛猫がトイレのフチに足をかけたり、排泄のあとダッシュでトイレから離れる行動が見られたら、トイレに不満がある可能性大です。

猫がトイレを我慢して使っているとしたら、ストレスやおしっこトラブルの原因になることも考えられます。

このページでは愛猫の気持ちになって、ストレスのない理想のトイレ選びについて解説します。猫のトイレ選びや見直しの参考にしてください。

伊藤悦子ペット栄養管理士 動物医療発明研究会会員
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)卒。動物医療発明研究会会員。子どものころから動物が好きで、猫は6匹、犬は5匹、哺育から介護、看取りまで経験してきました。猫と飼い主さんのために、お役に立てる記事をわかりやすく執筆いたします。現在は17歳になる茶トラ猫と暮らしています。趣味はピアノです。

 

 猫の行動学から見た猫トイレの選び方とは

外で過ごす猫が「どんな場所で」「どのように排泄するか」ご存知ですか?

「猫は狭くて暗いところが好きだから、排泄もそういう場所でするのでは?」と思いがちですが、実はそうではありません。

外で排泄するとき、猫は周囲を見渡せるような広い原っぱや公園の砂場で丹念にニオイを嗅いでから、ゆったりと排泄します。

排泄が終わっても慌てて走り去ることはありません。排泄物にていねいに砂や枯葉をかけて、悠然と去っていきます。

猫の先祖は、リビアヤマネコだといわれています。生息域は、アフリカ中近東の砂漠であることから、猫は砂のある場所で排泄します。そのため猫が排泄する際は砂が必要です。

これらの行動から考えると猫のトイレ選びで大切なことは

ゆったり排泄できるように大きくて広いトイレ
砂の感触に近い猫砂を入れる

の2点だということがわかります。

猫にとってストレスの少ないトイレ環境とは?

 

結論から言うと、猫のトイレ選びとトイレ周囲の環境で欠かせない大切なことは次の5つです。

  1. 大きなトイレを選ぶ。目安は猫の体長の1.5倍以上
  2. フードはないほうが好まれる傾向
  3. 落ち着いて排泄できる環境に設置する
  4. 猫砂は粒が小さくて重いものが好まれる。好みがあるので、数種類用意して試す
  5. トイレの数は、猫の数+1個

 

次に、猫にとってストレスの少ないトイレ環境と、トイレにストレスを感じている可能性のある猫の行動についても紹介します。

まずはおすすめの猫トイレをみたい方はこちらからどうぞ。

静かで落ち着ける場所・安心できる環境

猫は騒がしい環境にトイレがあることをを嫌がります。大きな音や怖い思いなど、不快なことを経験するとそのトイレそのものを嫌いになることがあるくらいです。

例えばついやりがちなのが、洗面所にトイレを置くことです。確かに飼い主さんは掃除をしやすいかもしれません。換気扇がついていればニオイもこもらないので快適です。

しかし洗面所には、大きな音を立てる洗濯機やドライヤーがつきもの。猫は強いストレスを感じている可能性があります。

そのほか頻繁に人の出入りがある玄関脇、テレビの大きな音響くリビング、同居の犬が吠えたてる場所にあるトイレも猫は嫌がることが多いようです。

見落としがちなのが、多頭飼いです。強い猫が、弱い猫に対してわざとトイレの通り道に寝転ぶなど「いじわる」することがあります。

弱い猫はトイレに行くことができず、落ち着いて排泄もできません。

そのためストレスをためている可能性があります。多頭飼いの場合は、猫たちの関係をよく観察することが大切です。

食事場所とは離れたトイレ

猫は食事をする場所からは、離れたトイレを好みます。猫は排泄する場所と食事をする場所は、区別する動物です。あまりにトイレが近すぎると食事をしなくなる恐れがあります。

特に猫をケージに入れる際は、トイレと食事場所が近くなりがちなので注意が必要です。

猫の生活圏からアクセスしやすいトイレ

猫が普段過ごすスペース、つまり生活圏からはアクセスしやすい場所に設置します。

食事をする場所から遠ざけることが重要ですが、かといって猫が過ごすスペースからあまりにも遠いのもよくありません。

遠すぎるとトイレに行くのが面倒になったり、体調不良のときは間に合わずに途中で粗相してしまうこともあります。

大きなゆったりトイレ

猫はトイレ内で身体を回転させて、排泄するスタイルを決めるため、ある程度の大きさが必要です。トイレの大きさは猫の体長の1.5倍以上を目安にします。

「トイレのフチに足をかけて排泄する」のは猫がきれい好きでだからではありません。トイレが小さすぎるからです。

排泄物がいつもトイレの外に落ちている場合も、トイレが小さすぎる可能性があります。

ニオイのない清潔なトイレ

猫は汚れたトイレ、排泄物が残ったトイレ、臭いトイレは苦手です。汚れていると排泄を我慢してしまうこともあります。

「病気やストレスがないのに粗相をする」場合も汚れたトイレを嫌がっているかもしれません。

大切なことは小まめに掃除をすること。猫の数プラス1個用意しておくと、1つが汚れても安心です。あまりにも汚れた場合は、ニオイがすべて落ちない程度に丸洗いします。

フードカバーつきトイレは、飼い主さんにとっては砂が飛び散らず、部屋も臭くならないので便利です。しかしトイレ内にニオイがこもりやすいのがデメリット。

顔を出して排泄している場合、猫がトイレのニオイを嫌がってしぶしぶ使用している可能性があります。

他にも「排泄のあとダッシュでトイレから離れる」場合も要注意です。臭くて汚れているから一刻も早く離れたいという気持ちの表れかもしれません。

好みの猫砂が入っているトイレ

猫は猫砂にもこだわりがあります。粒が小さく、重みのある猫砂に人気があるようですが、好みは猫それぞれ。飼い主さんが、探っていくしかありません。

排泄のあと「空中をかくしぐさ」「壁をカリカリするしぐさ」をしている場合、猫砂の感触が好みではないことが考えられます。

好みの猫砂については、このあとの章でも解説します。

浅すぎず深すぎないトイレ

ある程度の深さのあるトイレが必要です。猫は砂をかいて排泄物にかける習性があります。しかしあまり深いトイレは猫が出入りしづらくなります。

子猫や高齢猫は、フチの低いものを選ぶなど負担のかからない高さを選ぶ必要があります。

 

猫トイレに関する実験やデータの紹介

フードカバー付きトイレとカバーがついていないトイレ、どちらを好むかどを調査したデータがあります。

1998年、酪農学園大学獣医学部で「猫が好む排泄用砂および排泄箱」について、8頭(オス2頭、メス6頭)の猫を使って実験が行われました。排泄箱は猫用トイレ、排泄用砂は猫砂を指します。

それぞれの猫のケージに、フードカバー付きとフードカバーなしのトイレを2つ入れます。トイレには異なる2種類の猫砂を入れ5日間試しました。5種類の猫砂を2つずつ使用する組み合わせは10通りです。

用意した猫砂は次の5種類です。

砂の種類

1リットル当たりの重さ

直径

固まる砂

963グラム

2~3ミリ

固まらない砂

730グラム

5~7ミリ

ヒノキの砂

262グラム

1~2ミリ

ペーパーサンド

170グラム

6~7ミリ

シリカゲル

475グラム

2~3ミリ

粒が小さく重い猫砂が人気

実験の結果、最も利用頻度が高かったのは「固まる砂でした。8頭の猫すべてで、固まる砂の使用頻度が高かったと報告されています。

他の砂については猫によって使用頻度が異なったのですが、重量の軽いペーパーサンド、ヒノキの砂は使用頻度が低い傾向にありました。

軽い猫砂は、飼い主さんにとって扱いやすいことが特徴です。しかしこの実験結果から、猫は重く、小さな粒の固まる砂を好む傾向にあると推測ができます。ヒノキの砂は、この実験においては軽さだけでなく「香り」も不人気の理由だったようです。

中にはいろいろな砂を試し、排泄した猫もいました。猫によって好みも変わるため、飼い主さんがいくつか用意して探るのが最も確実といえます。

人気はフードカバーのないトイレ

トイレの形状については、フードカバーなしの方がよく使用されました。

8頭の猫の排泄回数の総計は、固まる砂ではトイレフードカバーのあるトイレが28回に対し、フードカバーなしは86回という結果でした。他の砂の場合もフードカバーがないタイプのトイレが好まれたという結果が得られています。

理由としては、排泄の際の姿勢が取りづらいこと、砂をかきづらいこと、ニオイがこもることが考えられ、カバーを付けたい場合はまず猫の好みを知っておくことが重要だと述べられています。

絶対カバーがあってはダメということではなく、好みの問題です。特に嫌がらずにフードカバー付きを使っているのなら、無理に変えなくてもいいでしょう。

参考:猫が好む排泄用砂および排泄箱

 

おすすめの猫トイレの紹介

以上のことから、おすすめの猫トイレ5点を紹介します。猫のトイレ選びの参考にしてください。猫の大きさや種類、年齢、性別、性格、飼育頭数を考慮しながら、飼い主さんが扱いやすいものを選ぶことがポイントです。

第5位 デオトイレ 快適ワイド 本体セット 

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ユニ・チャーム
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お部屋を閉め切っていても、排泄物のニオイが気にならない大きめシステムトイレです。リビングなど、お部屋にトイレを設置したい飼い主さんも安心。

システムトイレのメリットは、「おしっこを採取しやすい」こと。検査でおしっこが必要になった時も、楽に採取できます。

トイレに出入りする場所は低くなっているので、小さな猫も使えます。

第4位 modernaproducts アリストトレー JUMBO 


ブルーベリー・グレー・ピンク・レモンイエローの4色が揃っているベルギーのモダンな猫トイレ。お部屋の雰囲気に合わせて選べます。

普通のトイレではちょっと物足りない、おしゃれなトイレを使いたい方におすすめ。

第3位 アイリスオーヤマ ネコのトイレ

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アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)
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大きめでシンプルなトイレ。丸いフォルムがおしゃれです。カラーはホワイトとブラウンがあるので、インテリアに合わせて選べます。スコップもかけられるのでお掃除も楽。

第2位 オーエフティー HY CAT ジャンボ 


大きな猫も余裕で排泄できるシンプルトイレ。高さがあるので、おしっこの飛び散りを予防します。

入り口は低めに作られているので、身体の小さな猫や子猫でも使いやすいことがポイント。

第1位 リッチェル コロル ネコトイレ F60


大きくてとにかくシンプル。掃除もしやすく、お値段も手ごろです。たくさん用意しても、お財布にやさしいので多頭飼いの方にもおすすめ。

子猫や足の弱った高齢猫には、スロープを付けてあげると安心です。

排泄トラブルに要注意!トイレ以外の問題も

 

せっかく大きなトイレを用意して、好みの猫砂も見つけ、静かな場所に置いたのに、なぜか排泄トラブルが生じることがあります。

病気やストレスかもしれません。粗相をしても叱らず、まずは動物病院に相談しましょう。

失敗しても絶対に叱らない

トイレを用意したのに、残念ながら思うようにトイレを使ってくれないこともあります。粗相がなかなか治らないこともあるかもしれません。

しかし、怒鳴ったり叩いたりなど、猫を叱ることは絶対にやめましょう。猫は叱られた意味がわかりません。

ますます粗相がひどくなる可能性だけでなく、猫との信頼関係が悪化してしまう恐れもあります。

猫がおしっこを飛ばす(スプレー行動)

猫が壁などに向けておしっこを飛ばすことを「スプレー行動」といいます。

スプレー行動が発情と関連する場合、去勢・避妊手術をすれば改善されることが多いので、まずは動物病院で手術の相談をしましょう。

ただし多頭飼いのなわばり争いなど、なんらかのストレスや不安が原因のスプレー行動は、手術をしてもなかなからないことがあります。この場合も、動物病院に相談することをおすすめします。

意外なケースでは、庭に来る野良猫に反応してスプレー行動をすることもあるようです。家周囲の環境の見直しもしてみましょう。

トイレ以外で排泄してしまう

トイレ以外で排泄してしまうときは、膀胱炎などの病気にかかっていることがあります。

また、腎臓や内臓の病気でトイレに間に合わないケースもあるので早めに動物病院を受診しましょう。

トイレ以外で排泄した場所の掃除が不十分だったことも原因になることがあります。

尿のニオイが残っていると、再びそこで排泄してしまうことがあります。徹底的に消臭することが大切です。

 

好みのトイレと環境整備で猫も人も快適に

猫のトイレ選びとトイレ周囲の環境で欠かせない大切なことは次の5つです。

  1. 大きなトイレを選ぶ。目安は猫の体長の1.5倍以上
  2. フードはないほうが好まれる傾向
  3. 落ち着いて排泄できる環境に設置する
  4. 猫砂は粒が小さくて重いものが好まれる。好みがあるので、数種類用意して試す
  5. トイレの数は、猫の数+1個

猫が好むトイレを選ぶには、まず猫をよく観察することが大切です。他の家の猫が好むことが、自分の猫も好むとは限りません。

好みのトイレが見つかったら、トイレ周辺の環境を整えることも大切です。

猫にとって、トイレは大変重要なこと。猫が快適にトイレを使うことは、人間にとっても快適なことです。「猫ファースト」の気持ちで、猫の好むトイレを選んであげください。

 

参考資料

猫が好む排泄用砂および排泄箱

猫における問題行動

犬と猫の問題行動の予防と対応 動物病院ができる上手な飼い主指導 水越美奈監修 緑書房

猫が幸せならばそれでいい 猫好き獣医さんが猫目線で考えた「愛猫バイブル」入交眞巳著 小学館

【獣医師が解説】猫にトイレのしつけは不要!?トイレのサイズや猫砂を見直そう!

 

この記事を書いた人

伊藤悦子ペット栄養管理士 動物医療発明研究会会員
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)卒。動物医療発明研究会会員。子どものころから動物が好きで、猫は6匹、犬は5匹、哺育から介護、看取りまで経験してきました。猫と飼い主さんのために、お役に立てる記事をわかりやすく執筆いたします。現在は17歳になる茶トラ猫と暮らしています。趣味はピアノです。

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