野良猫の寿命はなぜ短い?過酷な冬の寒さと子猫の生存競争

残念なことに、野良猫の寿命は3~4年程度と言われています。室内で飼われている猫の平均寿命が15歳を超えることを考えると、大変短いことがわかります。

気ままな暮らしをしてているように見える野良猫。実際はどんな生活を余儀なくしているのか。このページでは、野良猫の寿命が短いと言われるのはなぜか?その生活の実態や、過酷な冬の過ごし方、について紹介しています。

 

そもそも野良猫とは?

野良猫とは「飼い主のいない猫」のことで、野生動物ではありません。飼い主に捨てられたり、迷子になったりした猫や、それらの猫たちが交尾することによって生まれた猫たちが、「野良猫」と呼ばれています。

猫とは「イエネコ」であり、人と一緒に暮らすことが自然な生き物です。野良猫は人間から離れて暮らすという「不自然な生き方」を仕方なくしているといってもいいでしょう。

犬は飼育する際に、市町村に登録することが義務になっていますが、猫の飼い主にはそういった義務が今のところありません。そのことも野良猫になりやすい原因のひとつと考えられます。

 

野良猫はどこに暮らしているの?

飲食店の近くなど食べ物が確保しやすい場所、寒さ暑さを少しでもしのげる廃屋、人家の軒下に生息していることが多いようです。魚のおこぼれをもらえることから、港に住み着く猫もいます。

メスはどちらかというと一定の場所で集団生活をすることが多く、オスは単独で暮らし、行動範囲も広めと言われています。

猫は寒さに弱い動物なので、冬場は野良猫にとって非常に厳しい季節になります。

冬の寒さをしのぐため、冬場はエアコンの室外機や車の下など、温かい場所を探して移動しながら冬の寒さに耐えるように生活しています。

 

野良猫の寿命が短い原因

野良猫はなぜ寿命が短いのでしょうか?
野良猫の寿命が短い6つの原因をみてみましょう。

 

寿命が短い原因その1:野良猫には食べるものがない

近所の人にえさをもらっている野良猫もいますが、ほとんどの場合定期的にえさを食べることは困難です。えさをくれていた人が引っ越してしまえば、食べることができなくなります。

そのため、野良猫は自分の力でねずみや小鳥など小動物を狩るしかありません。当然毎回狩りがうまくいく保証はなく、人間が出すごみや残飯をあさるなどして食べつないでいます。猫が健康に暮らすための栄養素は不足しているため、体重も少なめです。

 

寿命が短い原因その2:感染症にかかりやすい

外で暮らす野良猫は、ウイルスや細菌など病原体に触れる機会が高く、それだけ感染するリスクが高くなります。

猫がかかりやすい感染症は、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズウイルス感染症)、猫伝染性腹膜炎、猫白血病ウイルス感染症、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス感染症などです。

これらの感染症は、猫同士のふれあいや唾液や体液などを介して移ってしまうので、グルーミング、交尾、ケンカなどで他の野良猫にもどんどん広がってしまいます。

飼い猫ならワクチン接種で予防もできますし、万が一感染しても動物病院で治療をしてもらえます。しかし野良猫は治療を受ける機会がありません。もともと栄養状態もよくないので、死亡率も高くなってしまいます。

 

寿命が短い原因その3:交通事故に遭うリスクが高い

野良猫は、交通事故に遭いやすいことも特徴です。沖縄タイムス2016年4月12日付の報道によると、2015年度、沖縄県内で交通事故によって死んだ猫は2,684件にのぼったそうです。

すべてが野良猫といえませんが、これは1日あたり7匹の猫が車にひかれて死んでいるという計算になります。2,684件という数字は、2014年の沖縄県内の殺処分数2,679匹とほぼ変わりがないそうです。

交通事故に遭いやすいのは、外を自由に歩きまわるという理由だけではなく、車が目の前に来たときに避けることができず、固まってしまう猫の習性も要因と考えられています。特に発情シーズンでは、興奮して飛び出してしまうことも多く、車にひかれる危険性も高くなるようです。

 

寿命が短い原因その4:人に虐待されるリスクが高い

心ない人間による虐待によって命を落とす野良猫もいます。
猫たちは人目につかないように暮らして身を守るしかありませんが、ひとたび悪意のある人間につかまってしまえばなすすべもありません。

環境省の報告書(※)によると、2013年から2018年1月までに新聞報道された猫の虐待は59件でした。しかしこれは件数であり、一度に複数の猫が虐待で死んでいるケースもあります。
※参考:平成30年度 動物の虐待事例等調査報告書

「ストレスがたまっていたから」という理由だけで虐待をしたという例や、「野良猫を捕まえて飼おうと思ったが、思い通りにいかないので殺してしまった」という例もあります。

虐待は、直接の暴力だけではありません。公園などに故意に置かれた、農薬や駆虫剤など毒入りのエサを食べてしまうことで亡くなる野良猫もいます。

報道される野良猫への虐待はほんの一握りで、表に出ていない野良猫への虐待はまだあると考えられます。

 

寿命が短い原因その5:冬の寒さや夏の暑さに耐えられない

猫の先祖であるリビアヤマネコは、砂漠原産です。そのため猫は寒さが苦手ですが、野良猫は屋外で寒さに耐えるしかありません。ガス給湯器や車のボンネットなど、温かい場所を探し求め、体を丸めて寒さをやりすごしています。

しかし栄養不足で弱っていたり、感染症などにかかったりしていることが多いため、冬を乗り越えられない野良猫も少なくありません。

真夏の暑さも野良猫には過酷です。近年は夜中でもなかなか気温が下がらない日もあります。「熱中症になった」「新鮮な水が飲めない」「もともと身体が弱っていた」などで死んでしまうことがあります。

 

寿命が短い原因その6:子猫のほとんどは生き延びられない

野良猫の平均寿命が短くなる要因として、生まれてきた子猫の多くがすぐに死んでしまうこともあります。母猫は1回の出産でだいたい3~5匹程度を生みますが、成猫まで生き延びられる子猫はその半分以下と言われています。

母猫も野良猫です。えさを食べられない日が続くと、栄養状態が低下し、母乳が出なくなります。そのため多くの子猫が栄養失調で亡くなってしまいます。

また母猫の育児放棄や親猫とはぐれて1匹になってしまうと、人間に保護されない限り生き延びることができません。

なぜなら生まれたばかりの子猫は、目が見えず、歩くこともままならない状態だからです。母乳も2時間おきに飲む必要があり、おしりを母猫になめてもらわないと自力で排泄することもできません。

子猫は小さく、カラスやヘビなど他の動物に襲われる危険性もあります。体力や抵抗力がないため、寒さや暑さに弱く、回虫などの寄生虫や感染症にもかかりやすいことも死亡率が高い原因です。

 

野良猫が生き延びるのは厳しい

一見すると自由気ままにほのぼのと暮らしているように見える野良猫ですが、実は寿命がとても短いという現実があります。特に野良猫として生まれた子猫の生存率がとても低いことが平均寿命を下げる要因の一つになっています。

野外での猫の生活は過酷そのものです。えさがない、感染症にかかるリスクが高い、交通事故に遭いやすい、人間による虐待に遭いやすい、寒さ暑さにさらされるなどが野良猫たちの寿命を短くしています。

不幸な野良猫を増やさないようにするためには、猫は家の中で最期まで責任をもって飼うこと、迷子にしないことが大切です。

もし野良猫を保護したときは何をどうすればいいのか?「野良猫を保護したら最初にするべきこと」を詳しく解説していますのでこちらも参考にしてみてください。

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【獣医師解説】野良猫を保護したら最初にする7つのこと!

 

参考資料

 

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