皆さんはペットショップと聞いてどんなイメージを持ちますか?
「売れ残りは殺処分?」「猫・犬に値段を付ける」など、多くの方はあまり良いイメージを持たないのではないでしょうか。
それでは実際のところはどうなのでしょうか?
ペットショップで現在働いている(2017年7月現在)私の経験を基に、実際のペットショップがどんな場所かを紹介していきます。
目次
どんなペットショップで働いているの?
私の働いているペットショップは業界の中でもかなり大きい会社です。
全国にお店があるため、個人経営のペットショップとは違います。
今回はそんなペットショップ業界について囁かれる噂(売れ残った子は殺処分?)などについて、実際はどうなのか真相を紹介していきます。
売れ残った子は殺処分されるって本当?
ときどきネットなどで、「ペットショップで売れ残った子が殺処分される」という噂を見かけます。
これに関して言うと、少なくとも私の勤めている店ではそんなことはありません。
ひとつ想像してみてください。
もし仮に「ペットショップAは売れ残った子を殺処分してるらしい」と噂になったらどうなるでしょうか?
イメージ的に最悪ですよね。
昔がどうだったのかは知りませんが、少なくとも現在は全国展開しているようなお店の中でそういったことはされていないと考えられます。
個人的には、そういった酷い行為を防止してるのに一役買っているのが、SNSなどのネットの普及だと思っています。
SNSの情報は一気に拡散しますよね。
仮に次のような記事がネットで流れていたら、大きな話題になるのではないでしょうか?
「年間殺処分○○頭?ペットショップAの光と闇」~元店員が暴露!~
こういった情報が流れたら、爆発的にシェアされることが予測できますよね。
そして徹底的に叩かれ、「ペットショップAはこんなことをしている。」という認識が広まるはずです。
こんなマイナスな情報が流れたら、遅かれ早かれお店は潰れてしまうでしょう。
昔もそうだったのだと思いますが、現在はそれ以上にペットショップ自体が黒い噂が流れないように注意しているのだと思います。
ただ個人経営のお店に関しては、情報もないし、働いたこともないので正直分からないです。
とは言え、売れ残った子がいるからといって※保健所に連れていかれることなどは早々ないと思われます。
※保健所に連れていかれる=殺処分される
じゃあ売れ残った子は最終的にどうなるの?
それでは売れ残りの子はどうなるのでしょうか?
これはお店でも聞かれることが多いので、皆さんもとても気になる点だと思います。
私の勤めているペットショップでは、成長してきた子に関しては、皆同様に少しずつ値下げが行われ、家族が見つかるまで、ペットショップにいます。
そして数は少ないですが、ペットショップにいる間に後遺症の残る怪我や、治らない病気などにかかってしまった場合は、里親に出されることなどもあります。
なんにせよ、売れないからと言って保健所に連れてかれる(殺処分される)というお店は、現在ではほとんどないと思われます。
ただ私の勤めているペットショップでは少なくとも見たことありませんが、動物愛護法の改正などから、引き取り業者という存在も出てきているようです。
※クローズアップ現代「追跡!ペットビジネスの闇」
ペットショップの子はどこから来てるの?
ペットショップにいる子がどこから来てるのか店員に聞くと、「契約しているブリーダーさんから引き取っています。」と言われると思います。
実はこれ嘘ではないですが、本当とも言えないのです。
どういうことかと言うと、ペットショップにいる子の多くは「生体市場(ペットオークション)」にかけられてやってきた子達なのです。
つまり直接ブリーダーさんから引き取った子なのではなくて、間にペットオークションが介在するのです。
具体的には以下のような流れになります。
- ブリーダー
- ペットオークション
- ペットショップ
- 飼い主
このような流れで犬猫は飼い主さんの元までやってくるのですね。
もちろん中には本当にブリーダーさんと直々に契約している店もあると思いますが、恐らくそれは本当に少数だと思います。
ペットショップにいる子のほとんどは、ブリーダーさんが生体オークションにかけた子を競売で引き取った子です。
ペットショップの子の値段が決まるからくり
汚い話になりますが、ペットショップの子はそれぞれ値段が異なります。
値段はどんなところから決められるのでしょうか?
分かりやすくするため、物販に例えますが、何か商品を売る際には、その商品を作ったり、もしくは卸売りから仕入れてくる必要があります。
そして商品を売るまでの費用合計が高ければ、その分商品も高く売る必要がありますし、費用合計が安ければ値段も自ずと安くすることができます。
ここまで言えば何が言いたいか分かるでしょうか?
嫌らしい話、犬猫も仕入れ値や販売までの費用合計によって値段が決まってくるのです。
販売までの費用は各会社によって異なりますが、仕入れ値がどのように決まるかというと、主には以下のような情報が掛け合わさって決まります。
- その子がかわいいor可愛くなりそうか?
- 人気のある種類か?
- 欠点はないか?
- 珍しい種類か?
などが主な観点になります。
正直な話、「その子がかわいいかどうか?」が最も大きな論点です。
犬猫の性格などはまだ子供であるため、判断ができず、値段決めの対象外となります。
こういった情報などを基に、ペットショップ会社は生体販売オークションで他の会社(お店)と競りを行い、犬猫を仕入れてくるのです。
そして当然仕入れた子は仕入れ値で売っては赤字になるため、色をつけて販売されます。
ペットショップの子の体調ってどうなの?
ペットショップの子は体調が悪い。
なにか病気にかかりやすい。
こういった話は、比較的よく聞きますよね。
実際どうなのかについてお答えします。
これに関しては会社の方針が大きいと思いますが、それ以上に店舗レベルで違います。
大きなお店などは当然、犬猫を最低限しっかりと管理するシステムが整っています。
ただそれをしっかりと実行できているか?と聞かれると、それはもう店舗レベルで異なるのです。
例えば会社の方針として、しっかりとお手入れするように指示が出ていたとしても、働いているスタッフの質が低かったり、人手不足だと手は回りません。
現に私も同じ会社の他店舗にヘルプで出勤した際に、あまりの店舗の汚さに愕然としたこともあります。
他にもお客さんから、同じ会社の他店舗の現状を聞いて、そのあまりの酷さにびっくりしたこともあります。
私の勤めている店舗に限って言っても、正直な話、管理体制はそれほど完ぺきとは言えないでしょう。
その理由は、皆さんが思っている以上にスタッフ1人あたりの仕事量が多く、こまめなお手入れやしっかりとしたチェックができていないからです。
それでは「正直買わない方がいいよ。」という位酷いかと言うと、そうでもありません。
基本、スタッフは犬猫の健康状態に関しての嘘はつきませんし、懸念点があれば隠さず話します。(なぜなら隠していて後にバレた方が大きな問題となるから)
お渡し前の契約書の取り交わしでも、私の勤めているペットショップでは「健康に関する懸念点」を記載・説明しています。
これはお客さんに信頼してもらう為でもありますし、「言った言わない」の争い事を回避するためでもあります。
ただ「20日前に下痢をしました」「食ムラがありました。」などの、ちょっとした懸念点であれば、隠したまま引き渡しをしてしまうことがあるのも事実でしょう。
ペットショップの良いところ・悪いところ
ペットショップ店員である私が、自身の思うペットショップの良いところと悪いところをお伝えしていきます。
まず良いところです。
- 良い意味でペットを飼うハードルが低い
- 家族を見つける架け橋になっている
続いて悪いところです。
- 悪い意味でもペットを飼うハードルが低い
- パピーミル(悪質ブリーダー)の温床になっている
まず良いところですが、ペットショップで働いてとても嬉しくなる瞬間があります。
それは「以前お渡しをさせていただいた飼い主様がご来店されて、近況を報告してくれること」です。
この瞬間は本当に嬉しくなりますし、少なからず幸せを届ける一助にはなれているのかなと思います。
また良い意味でも悪い意味でもペットショップはお金さえ出せば、犬猫を飼い始めることができます。
これに関しての悪い面は、当然のことながら責任感がない人でも、簡単にペットを飼い始めることができるという点だと思います。
責任感がない人が飼うと犬猫にとっては、大変な結末を迎えてしまうこともあるでしょう。
もちろん現在ではほとんどのペットショップの子にマイクロチップが入っているため、捨て犬・捨て猫防止にはなっていますが、100%の効果を持つものではありません。
ただ飼い始めるのが簡単なのには、良い面もあります。
私自身保護猫カフェや里親募集で、1人暮らしということから引き取りを断られてしまったため、最終的にペットショップから猫を引き取るという選択をしました。
そのためお金さえ出せば犬猫を飼い始めることができるというのは、良い面、悪い面の両面を併せ持つと私は思っています。
最後にこれが最も悪い点ですが、「パピーミル(悪質ブリーダー)の温床になっていること」です。
ペットショップがなければ、犬や猫を飼い始める場合の選択肢は、ブリーダーさんから引き取るか、保健所にいる子を引き取るという2つになります。
現在もブリーダーは多いですが、酷い飼育をしているところなどはペットショップがなければやっていけないでしょう。
なぜなら直接飼い主さんとやり取りするのには、あまりに酷い飼育環境だからです。
ただペットショップという仲介業者が存在し、ペットオークションという一種のブラックボックスがあるからこそ、パピーミルと呼ばれる悪徳ブリーダーも存在しやすくなっているのです。
これはどんなにペットショップ側が「私たちは殺処分まったくしてません!」「犬猫に酷いことしていないです!」と言っていても、間接的に存在する事実でしょう。
個人的には、ペットショップから猫を引き取ることが悪いことだとは思いません。
自分が譲り受けた命に対して、出来る限りの責任を全うすることができれば良いと考えています。
ただペットショップ店員として働く中で、正直な話、飼い主になる方の中には「この人に渡して本当に大丈夫かな?」と思える人がいるのも事実です。
猫を引き取る際に、「保険は入るつもりありません。なるべくお金を節約したいからトイレとかも自分で揃えます。」というように、なるべく負担をなくそうとしている人を見ると、もし病気とかになってもちゃんと獣医さんで診てもらえるのか。など先行きが不安になることはあります。
いざ病気などになると、犬猫はかなり高額な治療費などが発生します。
手術などになると、30万円の負担を超えることもざらにあります。
記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。
最近どこかの獣医さんが「貧乏人はペットを飼うな」という発言をして、賛否両論を巻き起こしたことを思い出しますが、個人的にはしっくり来る発言だったりします。
もちろん「貧乏人は」というより、「必要な準備・出費をすることができない人は」犬猫を飼う資格がないという感じです。
参考:獣医師「貧乏人はペットを飼うな」のツイートに賛否両論、あなたの意見は?(リンク切れ)
ペットショップって儲かってるの?
この点も皆さん気になっていることだと思います。
実際「ペットショップが儲かってるのかどうか?」です。
結論から言うと、「店によって違います。」
まあ当然ですよね(笑)
ただ個人経営のペットショップの多くは、生き残るのが難しいとされています。
業界でも大きいところが生き残っているのが現状です。
私の働いている店は全国展開していますが、店舗によっては赤字が出ている店もあります。
なんとかやっているという感じなのです。
「ペットショップは生体の代金がとても高いからぼろ儲けしてるんだろ。」なんて思ってませんでしたか?
意外とそんなことはないのですね。
けっこうカツカツです(笑)
それではペットショップがどうやって利益をあげているかというと、もちろん生体販売という面もありますが、それだけではありません。
生体販売だけではなく、以下のようなサービスも提供しているところが多いです。
- 提携保険商品の紹介
- 系列の病院紹介
- ペット商品の販売
- トリミングサービス
このように様々な商品・サービスを提供しています。
この理由はいたって簡単です。
生体販売だけでは難しいでしょうし、他のサービスを用意することで、ヘビーユーザーを獲得しやすくなるからです。
ペットショップにとって、お客さんとの最高の流れは以下のようなものです。
- 犬猫の販売(ケージなどのスターターセットも一緒に販売)
- 引き渡し時に提携保険会社の紹介(保険加入によって、ペットショップへの紹介料発生)
- 提携病院での犬猫のワクチン接種の約束を取り付ける
- 提携病院でのワクチン接種(ペットショップに紹介料発生)
- 提携病院に近い場所にペットショップがあるため、ワクチン接種の日についでに立ち寄ったお客さんにフードや雑貨を販売
- 犬の場合は、ペットショップにてトリミングの約束
- トリミングができるため、ペットショップに定期的に通う(トリミングがある際にグッズなども一緒に購入)
これがペットショップにとって最もおいしい展開です。
言っておきますが、これが悪いというわけではありませんし、お客さんが損をしているわけでもありません。
ただペットショップ側としては、犬猫の引渡しをして、ハイおしまい!となってしまうと、あまり利益的にはおいしいものではありません。
やはり定期的にグッズやフードを店舗から購入して頂いた方が、長期的な利益が大きくなりますから。
こういったことからペットショップは生体販売だけでなく、フード・グッズ販売、トリミング、系列病院の紹介、ペット保険の紹介などをしているのです。
生体販売だけでなく、関連商品やサービスの提供によって、お客さんをリピーター化することで、短期的にではなく、長期的につきあえるお客さんにしていくのですね。
ペットショップ店員という職業
ペットショップ店員は優しい人が多いです。
また当然ですが、働いている人のほとんどは犬・猫が好きです。
そしてペットショップが社会的に悪く言われていることを知っており、そういった評判から罪悪感のようなものを感じている側面もあります。
悪く言われる理由も分かっていますし、自分がペットショップに勤めているということが、どういうことを意味するのかも理解している人がほとんどです。
けっこうみんな、悩みながら働いているものなんです。
まとめ
ペットショップの裏側はいかがだったでしょうか?
個人的には今後ペットショップの在り方も変わるべきだと思っているのですが、それを書くと本当に長くなってしまいそうなので、また別な機会に紹介していきます。
記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。
また何かここが知りたい!などご意見があれば、コメントで質問を下さい。
分かる範囲でご回答させていただきます。
残念ながら元同僚から、現実を聞かされたため、追記する必要があります。
基本的に殺処分というのはありません。
ただ、ペットショップにいる間(店頭にいる間)などに、重度の病気や怪我を負ってしまった場合、殺処分になることもあるようです。