【獣医師監修】猫アレルギーの原因と症状は?猫アレルギー持ちか分かる3つの検査方法と費用を紹介!

現代人の10人に1人は猫アレルギー持ちと言われています。
実は自覚がないだけで猫アレルギー持ちの方は意外と多いようです。

そこで今回は猫アレルギーの原因や症状について、検査方法や検査の費用などについて紹介していきます!
今後猫を飼うかもしれないという人は、是非参考にしてみてください!

大森貴裕獣医師 AVOS共同代表
東京農工大学農学部獣医学科卒業、同大学博士課程在籍。 現在は、大学にて二次診療・研究活動を行ないながら、関東近県の動物病院にて循環器専門診療を担当。 モットーは「ペットと暮らす全てのご家族が幸せな生活を送れるよう、獣医師としてできることを全うする」

猫アレルギーの原因

猫アレルギーは猫の唾液やフケ、尿、肛門腺などに含まれるアレルゲンというごく微量な物質が原因です。
このアレルゲンはそれぞれ「Fel D1」~「Fel D8」といくつかに分類することができます。

その中でも主犯格と言えるアレルゲンは大きく分けて2種類あります。
「Fel D1」と「Fel D4」の2つです。

まずはこの2つのアレルゲンについて詳しく紹介していきます。

 

FelD1(糖たんぱく質)

Fel D1は主に猫の皮脂が出てくる部分(脂線)や唾液に存在するアレルゲンで、糖たんぱく質とも言われています。

主犯格のアレルゲンの中でも特にアレルギー反応の原因となりやすいです。
実際猫アレルギーを持つ人のほとんどは反応が出てしまうようです。

糖たんぱく質は非常に小さい物質で、猫の毛や皮膚に付着し何時間も空気中に漂ってしまいます。
非常に粘着性があることがわかっており、容易に人の衣服や皮膚に付着してしまいます。

衣服や皮膚に付着した状態で、他の人が学校の教室のような公共の場にも持ってきてしまうこともあるようです。

 

FelD4

Fel D4も猫アレルギー反応の主犯格の一つです。
Fel D4は主に唾液として外に出てくることが多いです。

猫が毛づくろいする際に被毛などにくっつき、抜け毛として部屋に散らばることで部屋中に蔓延するようです。
続いて猫アレルギーの症状について解説していきます。

 

猫アレルギーの症状

猫アレルギーは以下の部位で症状が現れてきます。

  • 目:かゆみ、充血、涙、腫れ
  • 鼻:鼻水、鼻詰まり、かゆみ、くしゃみ
  • のど:せき、痛み
  • 皮膚:発赤(ほっせき)、かゆみ

他にもぜん息に近い症状が現れたり、唇が腫れたりしてしまうことがあります。
こうしてみると全体的に、花粉症のような症状と想像すると分かりやすいと思われます。

ただ猫アレルギーはひどい場合は、くしゃみや鼻づまり以上の症状が出てしまうこともあるため注意が必要です。

 

猫アレルギー持ちか分かる3つの検査方法!

昔から猫と触った後にはかゆみや鼻水が出てくると分かっていれば、猫アレルギーを持っていることがすぐにわかると思います。
一方中には、自分が猫アレルギーかどうかいまいちよく分かってないという方もいると思います。

猫アレルギーかどうかを知るにはいくつかの方法があります。
1つずつ詳しく見ていきましょう。

  • 病院での検査
  • 市販セットでの検査
  • 実地調査(猫カフェなど)

 

1.病院での検査

病院でのアレルギー検査に関しては、どこで、どのように、そしていくら位で診てもらえるかを順に紹介していきます。

何科で診てもらえる?【どこで】

病院での検査は何科で診てもらえばいいのか分からないという方も多いと思います。
猫アレルギーの診察に関しては、耳鼻咽喉科・内科・アレルギー科・皮膚科のいずれかで診てもらえるようです。

 

猫アレルギーの血液検査について【どのように】

検査は血液採取をすることで行われます。
検査後約1週間ほどで、下記のような報告書を受け取ることができます。

photo credit:もりざね耳鼻咽喉科

必ずしも上記のような報告書ではないようですが、調べたところどれも似たようなフォーマットとなっていました。

いかがでしょうか?
個人的にはかなりわかりやすい報告書だなと感じたのですが。

この報告書は「RAST検査」という、アレルギーチェックでの報告書です。
RAST検査とは特定のアレルゲンに対して、どれだけアレルギー反応が出やすいのかを数値別に調べることができる検査方法です。

それぞれの項目に対して、その人がアレルギー持ちであるかどうかは大きく3つで分けることができます。

クラスについて

  • 陰性(クラス0):アレルギーなし
  • 疑陽性(クラス1):陰性と陽性の中間、詳しく知りたい場合は精密検査が必要
  • 陽性(クラス2以上):アレルギー持ち

サンプルの紹介では「猫皮屑(フケ)」の項目がクラス3であるため、そこそこの猫アレルギー持ちということが分かります。

 

猫アレルギーの血液検査(RAST検査)の費用【いくら位で】

アレルギー血液検査は健康保険が適用されるようです。
先ほど紹介したRAST検査に関しては、いくつの項目を調べるかによって費用が変わってくるようです。

おおよその例としては以下になるようです。(健康保険適用額です)

  • 1種類検査したとき:約760円
  • 5種類検査したとき:約2,450円
  • 10種類検査したとき:約3,770円

引用:こころ皮ふ科クリニック

およそ1項目検査してもらうことで、400~600円ほどかかるという認識で大丈夫です。

 

2.市販セットでの検査

2つめの検査方法として、市販でのアレルギーチェックセットの利用が挙げられます。
こちらは1セットで6,480円ほどとなります。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

 

 

 

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検査キットが到着してから自身で血液を採取し、採血した日にクール便で特定の場所へ送りかえすことで検査ができます。
費用的な面や、検査の早さから言っても病院の方がおすすめです。

ただ病院に行く時間がなかったり、貴重な休日を病院に行くことで潰したくないという方にはおすすめの方法かもしれません。

 

3.実地調査(猫カフェなど)

最後に紹介するのは正確には検査方法ではありません。
実際に猫カフェなど、猫が多数いる場所へ行ってアレルギー反応が出るかどうかを見るのです。

この方法は上記で紹介したような「アレルギーチェックがめんどくさい!」という方などには、おすすめの方法になります。

一点注意として、アレルギーの現れるタイミングは触ってすぐに症状が出る方もいれば、触って数時間後に初めて症状が現れる方などそれぞれのようです。

猫カフェを出てからアレルギーが出るようなら、やはりしっかりとした検査をする必要があると言えるでしょう。

 

⚠️アレルギーの型

アレルギーには、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型といった4種類の型が存在します。

中でも猫アレルギーはⅠ型アレルギーに含まれ、このグループには他にも花粉症やアレルギー性ぜん息、蕁麻疹などがあります。
このⅠ型アレルギーには、以下のような特徴があります。

  • アレルゲンとの接触からアレルギー反応が出るまでの時間が短い
  • アレルギー反応が強い場合にはアナフィラキシーを引き起こす可能性がある

特に、2つ目のアナフィラキシーに関しては、血圧の低下を生じてショック状態に陥ることがあるため、注意が必要です。

もし、アレルギー反応が出て、気持ち悪い・頭がふらふらする・吐き気がするなどの症状がある場合にはすぐに医療機関へ相談しましょう

 

猫アレルギー持ちが猫と一緒に暮らす方法

猫アレルギーの方が猫を飼うということは、「花粉症の方がスギ・ヒノキを家に置いて暮らす」というようなイメージをすると分かりやすいと思われます。

そんな状況で暮らすのは、かなり大変なのはわかると思います。
花粉症は時期ごとにピークなどもありますが、猫アレルギーは時期関係なくアレルゲンが出ますしね。

それでもどうしても猫を飼いたい!と思い、実際に猫を飼っている人はいらっしゃいます。
猫アレルギー持ちの方が、猫と共に暮らすには以下のことに気をつけることが大切です。

詳しく知りたい方はこちらのページを参考にしてみてください。

【対処法】猫アレルギー持ちが猫を飼うために大切な10のコツとは

 

まとめ

現代人の10人に1人は猫アレルギーと言われています。
主な症状は花粉症と同じような鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどです。

今後猫を飼いたいと思っている方や、花粉症や喘息などをお持ちの方は、この記事を参考に「猫アレルギーの検査」を検討してみてはいかがでしょうか。

photo credit:Andrew Goloida by Cat AllergiesMatt Czarnocki by DSC_1394

獣医師 大森先生
獣医師からの一言

猫アレルギーを持っていることに気付いていない方も多く、野良猫や友人の家の猫と触って何だか鼻がムズムズするといった症状から見つかることがあります。

しかし、猫アレルギーの方であっても、何度も猫と触れ合うことでアレルギー反応が弱くなることがあります。

実際、猫アレルギーの方が猫を飼い始めてしばらく経つと、アレルギー症状が出なくなったという飼い主さんもいます。

ただ、あまりにも症状が強い場合には、無理せずに一度猫から十分距離をとって休みましょう。
猫アレルギーからアナフィラキシーを引き起こすことは稀ですが、もしアレルギー症状が重い場合には早めに医療機関へ相談しましょう。

この記事を書いた人

島崎 塁(ミツバ)
ペットショップ、ペットホテル、猫カフェで店員をしていました。仕事とプライベートでの飼育経験から得た猫に関する知識を、余すところなく公開していきます。

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