猫のダイエットは私たち人間のダイエットのように同じく難しいものです。
違いとしては、人間のダイエットは本人の強い意思が必要になりますが、猫のダイエットは飼い主さんの強い意思と根気が必要になることです。
だって猫は肥満であっても自分からダイエットなんてするつもりないですからね(^^;)
しかしデブ猫ちゃんのままだと、心臓病など病気のリスクはかなり高まってしまいます。
そうならないためにもダイエットを成功させましょう。
ライザップのように結果にコミットすることはできませんが(笑)猫の肥満のリスクについて解説し、ダイエットで注意すべきことを解説します。
なるべく分かりやすく、どうすればいいのかを具体的に書いていきます。
目次
猫の肥満の原因とリスク
あなたの猫は何が原因で太ったのでしょうか?よくある原因が次のようなものです。
- フードやおやつの与えすぎ
- 運動不足
- 避妊・去勢手術によるホルモンの変化
- フードがライフステージに合っていない
- ストレス
ダイエットすると同時にストレスなどもないか確認しておきましょう。
原因は1つにとどまらず、複数の原因が重なっていることもあります。
「ぽっちゃり猫がかわいい!」と、SNSなどで人気になることがありますが、猫にとっては、デメリットばかりでいいことはありません。
最も深刻な問題は、病気にかかりやすく悪化しやすいということ。大事な猫ちゃんが病気になるのはつらいですよね。
肥満になった猫がかかりやすい病気は、
- 糖尿病
- 心臓病
- 関節炎
- 尿路結石
などがあげられます。
太り過ぎたことで体を十分曲げることができず、毛づくろいができなくなることから皮膚疾患を起こすこともあります。
そのほか
- 麻酔がかかりづらい
- 脂肪が多く手術しづらい
などがあげられます。
デブ猫のダイエット!成功までの4つの流れ
猫のダイエットは成功までに大きく分けると4つの流れがあります。
- 猫が太っているか判断する
- 目標体重の設定
- ダイエットスタート!
- 成功後もリバウンドに注意を
以上の4ステップになります。
それではひとつずつ見ていきましょう!
1.猫が太っているか判断する
ダイエットする前に、あなたの猫がデブ猫ちゃんかどうかを判断しましょう。太っているかどうかの判別方法はこちらから確認できます。
1分あればすぐに分かるので、是非確認してみてください。もしこちらで試してもわからない場合は必ず獣医師に判断してもらいましょう。
2.目標体重の設定
目標体重の設定に関しては、2つの情報が必要になります。
「どれくらい太っているのか」と「飼っている猫の体重」です。あなたの猫が太っているとしても、どれくらい太っているのかを判断することが大切です。
ちょっとしたぽっちゃり猫ちゃんなのか、デブ猫ちゃんなのかによってどの程度体重を落とす必要があるのかが変わるからです。
あなたの猫のBCS「ボディーコンディション・スコア」を確認しましょう。
BCSはやせ具合や肥満の頻度を判断する指標となるもの。外見と、体に触れた状態で評価します。
あなたの猫は下の4(太っている)と5(太り過ぎ)のどちらに判別されるでしょうか?
ちなみに「太っている」のBCS4は
- 脂肪が厚い
- 肋骨などの骨にはなんとか触れられる
- くびれがふっくらしている気がする
- 脇腹にあるヒダが垂れ下がって歩くと揺れる
などの特徴があり、体脂肪率はだいたい30%程度です。
「太り過ぎ」のBCS5では
- 脂肪に厚くおおわれて、肋骨になかなか触れられない
- くびれ部分がふっくらしている
- 脇腹のヒダは脂肪の重みで垂れ下がってよく揺れる
となり体脂肪率は40%を超えています。
ちなみに大変太っている場合は、体脂肪率が50%を超えることも。
太り過ぎのBCS5を「肥満」「高度の肥満」「超肥満」とさらに3段階にわけることもあります。
理想はBCS3で、「肋骨に触れることができる・肋骨の後ろにくびれがある・脇腹にヒダがある」となっており、体脂肪率は約20%です。
次に必要なのがあなたの猫の現在の体重です。このBCSの結果と体重、2つの情報を基にダイエットの目標体重を設定します。
これは今の猫の太り具合から、どのくらい体重を落とした方が良いのかを教えてくれるものです。
目標体重の出し方に使う計算式は以下に記載しますが、興味がない方は読み飛ばしてくださっても問題ありません。(計算しなくても目標体重が分かる表が下にあります。)
目標体重の計算方法
(現在の体重)×(100%-現在の体脂肪率)÷0.8=目標体重
・BCS4(太っている)合、体脂肪が約30%で除脂肪率は70%)
・BCS5(太り過ぎ)太り過ぎの場合、体脂肪率が約40%で除脂肪率は60%になります。
計算例をみてみましょう。
現在の体重5kg、体脂肪率40%のBCS5猫の適正体重は?
5×(100-40)÷0.8=5×0.6(60%)÷0.8=3.75㎏
つまり3.75㎏が適正体重となります。
現在の体重から考えるべき目標体重表
計算するのは面倒だと思うので、現在の体重から考える、大まかなダイエットの目標体重を表にしておきました。
あなたの猫ちゃんが肥満だとしたらまず「太っている猫」と「太り過ぎ猫」の猫のどちらのカテゴリに入るのか判断してください。
そして現在の体重から横に記載してある目標体重を確認しましょう。
例えばあなたの猫が現在7kgで太り過ぎのカテゴリに入る場合は、5.3kgがダイエットの目標体重になります。
猫をダイエットをさせる場合まずは動物病院を受診しましょう。
またダイエットの相談もかねて、定期的に通うようにすると更に良いでしょう。
3.ダイエットスタート!
ダイエットには大きく分けて2つの方法があります。
「運動量を増やすこと」と「食事のコントロール」です。
具体的にどんなことをすればいいのか見ていきましょう。
猫のダイエットは必ず半年や1年のスパンで考えましょう。
短期間で急に体重を落とすことは本当に危険です。
そのため週に1回は体重の記録を付けることをおすすめします。
記録をつけることで無理なダイエットをしてないかを見直すこともできます。
運動量を増やす
遊ぶ時間を増やして運動量を増やす
なんといっても運動量を増やすのが、猫にとって効果的なダイエット法の1つです。
とはいえ犬のように散歩を増やすことはできないため、運動しやすくなる環境を整え、飼い主さんも一緒に遊ぶなどの工夫が必要になります。
太っている状態でいきなり激しい運動を増やすと、心臓や関節の負担がかかります。猫の様子をみながら少しずつ運動量を増やしていきしましょう。
猫はもともと上下運動が好きな動物。家の中でも自然と上下運動ができるような部屋作りをしてあげましょう。
キャットタワーを設置するのが一番手軽にできる方法です。ただ、あまりに体重が重い場合、上から飛び降りた際、関節を傷める心配があります。
最初は低いキャットタワーを置く、ステップを置くなど配慮してあげましょう。床には滑り止めのマットを敷いておくと安心です。
食事の前に運動させる
ご飯を食べた後、すぐに運動をさせると消化に悪影響を与えてしまいます。
胃腸の負担にならないよう、できるだけ食事の前の運動が習慣になるように取り組みましょう。
食事に遊びを取り入れる
ご飯をあげる際にも運動を促すことはできます。例えば部屋に上下運動ができるようなキャットタワーがあれば、タワーの一番上にご飯を隠したりすることで猫に上下運動をさせることができます。
部屋のあちこちに、フードを置いて食べさせるのもいい方法です。狩りの気分も満たされるでしょう。
フードを詰められるおもちゃで与えると、体を動かしながら少量ずつ食べることができます。一度にたくさん食べてしまう猫におすすめの方法です。
食事のコントロール
ご飯の量を少しずつ減らす
当然のことながら猫が日々食べるご飯の量を少なくすることで、ダイエットすることができます。
しかし急激に減らしてしまっては、必要な栄養素を十分摂取できないなどの危険があります。
フードを減らす量は、猫の品種や年齢、避妊・去勢手術の有無・運動量などによって異なります。自分で判断せずに動物病院で減らし方の指導を受けましょう。
またこれまで目分量でご飯を与えていた方は、はかりできちんと測定してから与えるようにすることも大切です。
ダイエットフードは一般のフードと比べてカロリーは少なく、栄養は高くという工夫がなされています。
ただ劇的に違うわけでもないので、ダイエットするからといって必ず変更する必要はありません。しかし獣医師に必要だと判断された場合は指示に従いましょう。
フードを小分けにして与えていく
これまでご飯を1日に1,2回与えていた場合は、小分けにして何回かご飯の時間を作るようにしましょう。
猫はもともと小動物を1日に何回も狩っては食べる動物です。できれば1日に4~6回にわけてご飯の時間を取るのが理想的です。
仕事などで留守にする場合は、自動給餌器で調節することがおすすめです。
食事抜きは絶対に行わない
人間は断食などをする人がいますが、猫には大変危険です。絶食をさせると肝リピドーシス(肝臓に脂肪がたまりすぎる病気)になる恐れがあります。
肝リピドーシスが起きると嘔吐や下痢、黄疸などを生じ、場合によっては命を落とすこともあるため注意が必要です。
おやつは総カロリーの10~20%
当然ながら日々与えるご飯の量が少なくなることで、猫のおねだりはこれまで以上に強くなるでしょう。
しかし、そこでおやつをこれまで以上に与えてしまっては意味がありません。
だからといっておやつを制限するのも酷な話。おやつはコミュニケーションにも必要です。1日の総カロリーの10~20%に収まるように与えましょう。
おすすめのおやつは「ゆでた鶏のささみ」、「ゆで卵」、「ゆでた魚」です。どれも味を付ける必要はありません。
特に鶏のささみは低脂肪で高たんぱくなので、猫のおやつに最適と言えます。
家族で意志の統一を
猫のダイエットは、家族や同居している人全員の意志も必要です。一人でも「ダイエットなんてかわいそう」と言う人がいるとなかなかうまくいきません。
ダイエットの効果が出ないと思ったら、実はこっそりおやつを与えている人がいたということにならないようにしましょう。
4.成功後のリバウンドに注意を
私たち人間にとってダイエット後で最も怖いのはそう、リバウンドですよね。
一度は理想の体重まで下がったのに、気付けばダイエット前に戻っていたなんてことも
そうならないためにリバウンドには十分気を付ける必要があります。
食事量をダイエット中より増やしても大丈夫ですが、以前太ったときと同じご飯の量を与えてはいけません。
あくまでダイエット後の体重を維持できる量を決めて、決められた量のみを与えるようにしましょう。
猫のダイエットは、猫の健康のためにも必要です。しかし急激に食事量を減らしたり、絶食させたりするのは大変危険です。
また運動がいいからと、いきなり激しく運動させるのも身体の負担になるのでやめましょう。
「少しずつ無理なく」すすめていくことが大切です。
まとめ
猫のダイエットは計画性を持って、粘り強く行っていくのが大切です。早く体重を落とそうと、いきなりフードを減らすことはやめましょう。
私たち人間が行うダイエットと同じように、急激なダイエットは体調不良につながります。
極端な話ですが、1週間で1kgやせたなんてことになったら猫にとっては命にかかわるほど危険だからです。
猫のダイエットは、目標まで半年~1年といったスパンがかかることが普通だと心得ておきましょう。
もし愛猫に幸せに長生きしてもらいたいなら、無理のないダイエットはかなり大切です。
あくまで無理なく健康的な生活を送れるようにしていきましょう(^^)
ぽっちゃり猫はかわいいかもしれませんが、肥満は猫にとってリスクやデメリットが多いためダイエットは必須です。
すぐに結果が出ないため、あせるかもしれませんが根気よく続けていきましょう。「うちの猫太っているかな?」と心配になったらまず動物病院を受診してください。
「ちょっとぐらいふっくらしている方がかわいい」と思われるかもしれませんが、猫にとって肥満は身体の大きな負担になります。
大切な猫がいつまでも元気に過ごすためにも、適切なダイエットをしてあげましょう。家族や同居している人みんなの協力が不可欠です。