ヴィーガンという言葉をご存知ですか?
ヴィーガンとは、完全菜食主義者のことで、肉や魚、卵、乳製品などの動物製品を一切使用しない生活を送ります。
近年ではその名を聞くことも多くなりましたが、このヴィーガンの波がなんとペット界にも波及しているようです。
今回は家庭猫とヴィーガンの関係性を見ていきます。
まずそもそもヴィーガンとは
ヴィーガンとは、「完全菜食主義者のこと」です。
定義などを説明していくと、細かくなるので、このページでは簡単な説明にとどめます。
ヴィーガンの人たちは、単純なベジタリアン(菜食主義者)と違って、動物製品を一切取りません。
肉や魚はもちろん、卵や牛乳などの乳製品も食べません。
調べたところ、目的は大きく分けると以下の3つに分類されるようです。
- 健康に良いから
- 環境保全のため
- 動物愛護の観点
人それぞれヴィーガン生活を送る理由は異なりますが、最近はこのヴィーガンライフを飼い猫にも適用しようとしている方が現れているようです。
飼い猫をヴィーガンにする人が増えてる?
雑誌Plos Oneに掲載された研究によると、犬や猫などの自分のペットに対して、植物由来フード(ヴィーガンフード)を与えている人が一定数いることを示しています。
正直、これだけ多くの人(1545人中15人)が猫に対して、完全植物由来フードのみを与えているという結果に驚きましたね。
この調査では記載がありませんが、この15人の飼っている猫の健康状態などが知りたいものです。
もちろん、「猫に対して植物由来のフードのみを与えること=悪」というわけではありませんが、現実問題肉からのみとれる猫にとって必要な栄養素などもあります。
そういった部分の調整をどのように行っているかに関しては、とても気になる部分がありますね。
猫をヴィーガン食にすることで考えられる問題
誰もが考えることでしょうが、まずそもそも猫は肉食動物です。
当然、猫に野菜だけを与える生活にすると、猫に必要な栄養素は摂ることができません。
その栄養素とは
- タウリン
- アルギニン
- タンパク質
- ビタミンB12
などです。
実際に2013年に猫に植物由来フードを与えることで、問題になった例があります。
2013年、オーストラリアに住む1人のヴィーガンに育てられた子猫が、栄養衰弱で病院の治療を受けることになりました。
飼い主は、ジャガイモ、米、ミルク、パスタなどの食事を猫に与えており、医師はそういった食生活が衰弱の原因になったと話しています。
子猫が病院にやってきたときのことをロートスミス動物病院(Lort Smith Animal Hospital)のピンフォールド医師(Leanne Pinfold)は以下のように話します。
「子猫が病院に来た時には非常に弱っており、かなりマズイ状態でした。ほとんど反応もしませんでした。」
医師は、点滴の投与、肉の給餌、暖房パネルでの保温を行い、3日間の入院を行いました。
その後、回復した子猫は飼い主に引き取られましたが、退院後は肉を与える食事生活に戻りました。
ピンフォールド医師はこの件について以下のように話します。
「猫は肉食動物であるため、生きていくには肉を必要とします。もしあなたが自身のイデオロギーから、肉を食べないペットを飼いたいのであれば、ウサギなどの動物を飼うべきだ。」
「肉食動物を草食にしていこうというアイデアは近年広まっていますが、それは危険です。もしあなたが猫を飼うなら、あなたのイデオロギーを猫に押し付けてはならない。」
参照元:Herald Sun
考えなしで猫に植物由来フードのみを与えていくと、こうなりますよ。という典型例ですね。
正直、ピンフォールド医師の主張に完全に賛成です。
もし自身がヴィーガンで、ペットにもその理念をあてはめたいのであれば、猫は飼うべきではないのかなと思います。
ウサギやモルモットなどは、完全菜食でも問題なく飼育することができるので、そういった動物を飼うことをおすすめします。
猫に植物由来フードを与えたいなら獣医師に必ず相談を。
まず初めに、当サイトの私は、猫への植物由来フードの提供には反対です。
猫は人間や犬とは違って、完全な肉食動物ですし、私たち人間がその点を捻じ曲げてまで彼らを飼育することに疑問を感じるためです。
そもそも猫は自身の欲望のために肉食生活をしているのではなく、生きるために、彼らの体の構造が必要としているから、自然の摂理に即して食べているだけですしね。
自分自身が決めて、自分がヴィーガンになるのは全く問題ないと思いますが、動物を自分の理念に強制させるのは、どうなのかな?と思ってしまうのです。
細かいことを言うと、室内飼いや、去勢・避妊問題なども関連するものになってきますが(人間目線で猫をどうこうしてるから)、そういったことまで考えると、究極の話、飼育すること自体勝手な行為じゃない?となってしまいます。
個人的には、猫さんの隣にいさせてもらう代わりに、自分の出来る範囲で、なるべく彼らにとって幸せに感じられる環境を作ることというのが、大切なことなのではないかなと思っています。
話が脱線しましたね。
猫に植物由来フードを与えるか否かの話に戻りましょう。
中にはやっぱり植物由来フードを与えていきたいという方もいらっしゃるかと思います。
そういった場合に関して言える唯一のアドバイスとしては、「まず獣医さんに相談しましょう。」ということです。
相談した上でどうするか、また、栄養に関してのアドバイスなどを貰うようにしましょう。
まとめ
ペットに対するヴィーガンの波はいかがでしたでしょうか?
ヴィーガンの方はこういった問題に関して敏感かもしれませんが、そうでない方はこのような状況にあることを知らなかったという人がほとんどなのではないでしょうか。
今後、猫の植物由来フードの摂取に関する栄養面の研究などが進むことで、より具体的な猫への影響などを討論できるようになると良いですね。
情報参考:INDEPENDENT
世界中の犬と猫の飼い主を対象にオンラインでアンケート調査が行われました。
調査対象となったのは、英語言語を話すペットの飼い主3670人です。
調査結果をかいつまんで紹介すると、以下のようになります。
まず、アンケートに回答した人の1.6%は現在、自分の犬や猫に植物由来フードのみを与えています。(59人)
更に、植物由来フードを与えている59人中、自身がヴィーガンと認めたのは58人で、残りの一人はベジタリアン(完全菜食主義ではない)でした。
猫だけに限ってみると、1545人の飼い主の内、15人は完全植物由来フードを与えていました。
アンケートに回答した人の※35%は、自身のペットに植物由来フードを与えることに興味を持っています。(3130人中1083人)
※現在植物由来フードを与えている人を除く
ただ、植物由来フードを与えることに興味があると答えた人の内、55%は獣医師の承認を得たり、動物の栄養ニーズを満たすためのより詳しい調査が必要など、一定の対策が必要だと考えています。
この研究結果の驚くべき点は、自身のペットに植物由来フードを与えることに興味を持っている人の多くは菜食主義者ではないということです。(菜食主義者は6.2%のみ)
つまり、ヴィーガンでない人も、自身のペットに対して植物由来フードを与えることに興味を持っているということです。
ちなみに植物由来ペットフード利用に関する興味の一番の理由は「肉ベースのペットフードに使われている動物への扱いに対する懸念(39%)」でした。
ドッグフード・キャットフードの元になっている動物達は過酷な環境で生まれ、殺されているという考えです。
更に、私たち自身猫を可愛がっているけども、それ以外の動物は素知らぬ顔で殺すのはどうなのか?という考えを持つ方もいるようです。
一方で、植物由来ペットフードを、自身のペットに対して与えることの一番の懸念は「栄養面(74%)」でした。
犬は雑食でより容易かもしれませんが、猫はれっきとした肉食動物です。
栄養面のニーズを満たすのが、かなり大変であろうことが容易に予想できますね。
参照元:Plus One