【栄養管理士監修】猫は野菜も食べられる?猫が食べても大丈夫な食べ物リスト!

食事中、愛猫におねだりをされるとどうしてもあげたくなっちゃいますよね?しかし猫には与えていい食べ物とダメな食べ物があります

大好きな猫ちゃんが、下痢や貧血を起こしたり病気にはなったりしてほしくないですよね。

猫が喜ぶ食べ物が、必ずしも猫にとっていいとは限りません。注意すべき食べ物があるのでしっかり確認しましょう。

今回は、猫が食べてもいいもの、いけないもの、そして猫に必要な栄養について解説します。

伊藤悦子ペット栄養管理士 動物医療発明研究会会員
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)卒。動物医療発明研究会会員。子どものころから動物が好きで、猫は6匹、犬は5匹、哺育から介護、看取りまで経験してきました。猫と飼い主さんのために、お役に立てる記事をわかりやすく執筆いたします。現在は17歳になる茶トラ猫と暮らしています。趣味はピアノです。

猫が食べてもいいものは?

私たち人間が普段食べているものの中には、猫が食べられるものと食べれないものがあります。

猫におやつをねだられることや、ちょっと変わった食べ物を与えてみたくなることってありますよね?

そんな時どんなものを与えてもいいのでしょうか?今回は猫でも食べられる野菜とそれ以外のものを紹介していきます。

野菜の注意
野菜は与えてはいけないものも数多くあります。
玉ねぎや長ねぎ、ニラ、ニンニクなどは絶対に与えないでください。
取り除いても、スープなどに成分が溶け込んでいるため注意が必要です。

こんなものまで?猫が食べてはいけない18の食べ物とその理由!

猫が食べられる野菜以外の食べ物

火を通した魚

味付けしていない魚の切り身をゆで、しっかり火を通してから与えます。

生の魚には、チアミナーゼというビタミンB1の吸収を阻害する酵素が含まれているため生食は避けましょう。

ゆでたあとは小骨や余分な脂肪は取り除いてください。特に鯛は骨が多いので注意が必要です。また干物や塩じゃけなどは塩分がかなり高いため、ねだられても与えないようにしましょう。

青魚には「不飽和脂肪酸」が含まれています。猫が食べすぎるとビタミンE不足になり黄色脂肪症という病気の原因になるため、与えすぎには十分注意してください。特にマグロのお刺身などは与えないほうがいいでしょう。

火を通した肉

味付けをせずゆでたものを、食べやすい大きさに小さく刻んで与えましょう。生の肉には、細菌や寄生虫がいる可能性が高く、感染症の恐れがあるので必ず加熱してください。

鶏のささみや胸肉などは、低脂肪&高たんぱくなため特におすすめです。

鶏の骨は必ず取り除きましょう。鶏の骨は火を通すと縦に割れやすく、口の中や消化管を傷つける危険があります。

レバーは猫が喜びますが、食べすぎには十分注意しましょう。レバーにはビタミンAが多く含まれているため肝臓に蓄積して中毒を起こす恐れがあるためです。

どうしても与えたい場合は、週に一度、ごく少量を与える程度にしてください。

味付けしてないのり

猫は意外にのりが好きです。
そのためキャットフードへのふりかけとして食欲増進をすることができます。

しかしのりはマグネシウムなどミネラル分が高く、尿路結石の原因になるので与えすぎに注意が必要です。また味付けのりは塩分が高いため与えてはいけません。

かつお節

猫が大好きな食べ物です。食欲をそそる香りづけとして使うことができます。おやつにしたりフードに振りかけたりすることができますが、ごく少量にしましょう。

ただしマグネシウムなどミネラル分が高いため、腎臓に負担をかけたり、尿路結石になったりする危険性が高くなるためです。腎臓が弱っている子や尿路結石になったことのある子には、与えないようにしましょう。

ごはん・麺など炭水化物

猫には基本炭水化物は必要ありませんが、魚や肉を食べる際に少しだけ混ぜ合わせても大丈夫です。

食べすぎは、糖質の過剰摂取になり肥満の原因になるので気を付けましょう。

無塩煮干し

マグネシウムが多く含まれるため尿路結石の原因になりやすい食品です。

カルシウムが多いイメージがあり、たくさん食べさせたくなるかもしれませんが、過剰摂取はかえって骨を弱くする原因になりかねません。

そのためおやつとして食べさせる場合は、無塩の小さい煮干しをごく少量与えるくらいにしましょう。

カッテージチーズ

カッテージチーズなど塩分が少ないチーズは少量なら与えても大丈夫です。

しかしスライスチーズなど塩分が多いチーズは与えてはダメです。塩分だけでなく、カロリーも高く猫の身体に負担がかかってしまいます。チーズを欲しがる猫には、猫用として作られたチーズを用意してあげましょう。

ゆで卵

卵は完全栄養食品です。動物性タンパク質が豊富で必須アミノ酸やリノール酸、アラキドン酸、DHA、EPAなど必須脂肪酸も摂取できます。

ゆでたものを砕いて少量与えてください。サルモネラなどの感染の恐れがあるので生のままは与えないでください。

また生の卵白を食べ続けると、ビオチンというビタミンが欠乏して成長不良や皮膚炎を引き起こす危険性が高くなります。加熱または卵黄と一緒に食べることで危険はなくなります。

プレーンヨーグルト

砂糖やフルーツなどが入っていないプレーンヨーグルトなら与えて大丈夫です。乳酸菌が含まれているため、腸内環境が整うメリットがあります。ただヨーグルトには脂肪分が多く含まれ、与えすぎると肥満の原因になることも。

また体質的に合わない猫もいるので、下痢などが起こした場合は与えるのをすぐに中止してかかりつけの動物病院を受診しましょう。

猫用ミルク

猫の成長に必要な栄養素を含んでいます。子猫だけでなく老猫の栄養補給にも効果的です。また水をあまり飲まない猫にも、水分補給の心強い味方になります。

牛乳には乳糖が多く含まれているため、消化・吸収がうまくできず下痢の原因になります。牛乳は与えず、必ず猫用ミルクを与えてください。

猫が食べてもいい野菜

白菜・キャベツ

食物繊維やミネラルが豊富です。やわらかくゆでたものを細かく切りきざんでから与えるようにしましょう。

芋類

さつまいもやジャガイモなどです。よくゆでてすりつぶしたものをごく少量与えてください。イモ類は食物繊維が豊富ですが、糖質が高いためカロリーオーバーで肥満にならないように気を付けましょう。

特にサツマイモは食べすぎると腸内のガスを生じやすく体調不良の原因になることもあります。わざわざ食べさせる必要はありません。

大根

大根を食べさせても特に問題はありません。大根が好きな猫には、ほんの少量をすりおろしたものを与えることをおすすめします。

辛味のある大根は、胃腸の負担になりやすいため与えないでください。猫が好まなければ無理して与えなくて大丈夫です。

にんじん

にんじんを与えても問題はありません。ただ繊維質が多く消化には悪いので、ゆでてやわらかくしたものをつぶし、ごく少量をフードに混ぜて与えます。

豆類

大豆はタンパク質とアミノ酸が豊富な食品です。ただし、繊維質が多く消化しづらいので与えたい場合はゆでてすりつぶします。

枝豆も与えても大丈夫ですが、ごく少量にとどめます。また塩ゆでした枝豆は与えないでください。冷凍食品の枝豆は、塩味がついているので注意が必要です。そら豆も食べられますが、必ずゆでたものを小さくして与えましょう。

トマト、きゅうり

トマトやきゅうりが好きな猫もいるようですが、少量なら生で与えても大丈夫です。食べやすいように細かく切って与えましょう。体温を下げる効果があるといわれています。

猫に必要な栄養素

猫が食べてもいいものは主に上記のものになります。

では猫に必要な栄養素とはどういったものになるのでしょうか?食べ物は次の6大栄養素によって構成されています。どれも猫に必要です。

  • タンパク質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • ビタミン
  • ミネラル

炭水化物・たんぱく質・脂肪はエネルギーになりますが、水・ビタミン・ミネラルはエネルギーにはなりません。

人間と猫では、生命を維持していくために必要な栄養素やバランスが大きく異なることを覚えておきましょう。肉食の猫は、人に比べて多くのたんぱく質を必要としています。

基本的に猫に必要な栄養は、市販のキャットフード(総合栄養食)を食べることでバランスよく取れるようになっています。

ここで各栄養素について、解説します。

全体重の6割を占めるのが水。水がないと猫はもちろん動物は生きていけません。最も重要な栄養素です。水は体温を調節し栄養を運び、消化を助けるなど様々な働きをしています。

猫はもともと砂漠原産のリビアヤマネコが原産です。水の少ない乾燥した土地で生きていけるように尿を濃縮することができるようになっています。

そのため水分摂取量が少ない動物ですが、水を摂らないでいると腎臓の負担が増え、猫下部尿路疾患などの原因になりやすいという特徴があります。新鮮な水をいつでも飲めるように、工夫することが大切です。

タンパク質

タンパク質は猫の身体を作る栄養素です。不足すると成長不良や貧血、体重減少などを引き起こします。摂りすぎると、肥満のほか腎臓や肝臓疾患の原因となってしまいます。

タンパク質は肉や魚などに含まれる「動物性タンパク質」と、大豆などに含まれる「植物性タンパク質」に分けられます。猫にとって特に重要なのは、動物性タンパク質。

特にタウリンは肉、魚、卵など動物性タンパク質にしか存在しないアミノ酸で、猫の視力や心臓の運動維持、繁殖や胎児の成長に不可欠です。

しかし猫は体内でタウリンをごく少量しか生成できません。そのため食事からしっかり摂取する必要があります。

脂質

猫の身体を守り、効率のよいエネルギー源として働きます。脂質は、動物性の食品から摂れる「動物性油脂」と、ナッツなど植物性食品の「植物性油脂」に分類することができます。

猫は人や犬と異なり、植物性の油脂リノール酸から「アラキドン酸」という脂肪酸を体内で合成できません。そのためアラキドン酸が含まれている動物性油脂を摂ることが必要です。

魚の油、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、抗炎症作用や抗酸化作用などがあると考えられています。ただし脂質の摂りすぎは肥満を招き、人間とおなじくぽっちゃり猫ちゃんになってしまいます。すい臓や肝臓疾患の原因にもなりかねないので注意してください。

炭水化物

炭水化物は、米や小麦、野菜や果物に含まれている栄養成分です。炭水化物は糖と食物繊維から成り立っています。

食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、どちらも消化されず大腸に移動することが特徴です。

水溶性はゲル状になるため満腹感を与え、血糖値コントロールなどのメリットがあります。不溶性食物繊維は、腸の動きを刺激するため排便を促進します。

糖はグルコースなど「単糖」の結びつきの数によって、「二糖類」「多糖類」などに分けられます。炭水化物は、消化酵素によって単糖に分解されて体内に吸収され、エネルギー源として利用されています。

しかし肉食動物である猫のエネルギー源はタンパク質と脂肪です。猫が糖を利用する能力は低く、炭水化物を食べすぎると血糖値が高くなってしまいます。

だからといって炭水化物は猫にとって全く不要かといえばそうともいえません。猫が捕らえる小動物の多くは雑食や草食です。狩ったネズミの胃に未消化の米や穀物があれば、そのまま炭水化物も摂取することになります。

キャットフードに含まれる米やトウモロコシなどの炭水化物量は、猫が無理なく消化吸収できる量(乾物量でフードの約30%)に抑えられています。また消化管に負担のないように加熱処理され、さらに糊化されているため心配はありません。

ビタミン

ビタミンもミネラルと同様エネルギー源ではありません。しかしごくわずかな量で身体の中の代謝や生理機能を調整する大切な栄養成分です。油脂分にと溶ける性質をもつ脂溶性ビタミンA・D・E・Kと水に溶ける水溶性ビタミンB群とCに分けることができます。

猫は、肉や魚、卵、豆などに多く含まれるナイアシンというビタミンBを体内で合成する機能が低いことが特徴です。そのため食品から摂る必要があります。

水溶性ビタミンは、水に溶けるためたくさんとっても大きな害はありませんが下痢などの原因になることがあります。特に猫は人間と異なりビタミンCを体内で生成できるため、サプリメントを与える必要はありません。

ミネラル

ミネラルは、エネルギー源にはなりませんが、猫の骨や歯を作り、神経伝達、電解質などの調節をする重要な成分です。身体のなかの酵素反応を活性化させる働きもしています。

だからといって大量に摂取する必要はなく、バランスが重要になります。良質な総合栄養食をきちんと食べていれば、特に不足の心配はありません。

ペット栄養管理士|伊藤悦子

猫は、総合栄養食のキャットフードを食べていれば必要な栄養素をバランスよくとることができます。わざわざ人間の食べ物を与える必要はありません。

ただ味をつけずにゆでた魚や肉などを、1日の総カロリーのうち10%を目安に、おやつやトッピングとして少量与えるのなら大丈夫です。

病気で療法食を食べている場合は、必ずかかりつけの動物病院で相談してからにしてください。

 まとめ

 

猫が食べていいものはキャットフード以外にもたくさんあります。しかし与える際には注意が必要です。「食べさせてはいけないもの」「食べさせてもいいが注意が必要なもの」を把握しておきましょう。

また何か一つだけを与えるのではなく、バランスよく与えることが大切です。
猫の身体や健康を考え、バランスよくが配合されているのが総合栄養食のキャットフードなのです。

猫には総合栄養食を与え、たまにおやつやトッピングをして食べていいものを少量与えるようにしましょう。

こんなものまで?猫が食べてはいけない18の食べ物とその理由!

ペット栄養管理士|伊藤悦子
猫のねだる姿がかわいくて、つい人間が食べているものを与えたくなることありますよね。

しかし欲しがるものを好きなだけ食べさせることは、健康を損なう原因になりかねません。本当にその食品が猫にとっていいものなのか、確認してから与えることが必要です。

基本的には総合栄養食と新鮮な水を与え、猫が食べて問題がない食品をおやつやトッピングとして少量与えるようにしましょう。

 

参考資料

犬と猫の栄養学 奈良なぎさ著 緑書房

飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~

犬と猫のバランスの取れた食事とは? 八木理香 ペット栄養学会誌 2004 年 7 巻 2 号 p. 94-95

猫における水分摂取の重要性 徳本一義 ペット栄養学会誌 2013年16巻2号 p.96-98

 

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この記事を書いた人

島崎 塁(ミツバ)
ペットショップ、ペットホテル、猫カフェで店員をしていました。仕事とプライベートでの飼育経験から得た猫に関する知識を、余すところなく公開していきます。

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