【画像で分かる】猫の色覚はどうなってるの?猫の視界で世界を見てみよう!

私たちが虹を見ると、赤・オレンジ・黄色・緑・水色・青・紫の橋が見えますね。
それでは猫が虹を見ている時は、どんなふうに見えているのでしょうか?

私たちと同じようにカラフル、それとも白黒の虹に見えるのでしょうか?
今回は猫がどのような世界を見ているのかを紹介していきます。

 

猫の視界はどうなってる?

皆さんは普段一緒に暮らしてる、猫さんの視界がどうなってるかをご存知ですか?
今回ご紹介する画像の多くは、アーティストのニコライ・ラム氏が獣医師や眼科医からの情報を基に、猫目線の世界がどのように見えるのかを表したものです。(画像引用:nickolaylamm.com

様々な観点から、人間と猫目線から見える世界がどのように違うのかを見てみましょう。

猫の視野の広さ

まずは人間の視野の広さと、猫の視野の広さを比べてみましょう。

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

視野の広さと言う観点では、人間は180°を見渡すことができるのに対して、猫は約200°を見渡すことができます
つまり、視野自体は若干猫の方が広いのです。

シマウマの視野とライオンの視野

▲引用:science window 2008年9月号

アフリカ・サバンナで暮らすシマウマとライオンの視野には、極端な違いがあります。
シマウマは350°もの広い視野を持っているのに対して、ライオンは猫と同じような200°程の視野の広さです。

なぜ同じ環境にいながら、これだけ視野の広さが異なるのかと言うのが興味深い点です。
両者の違いは、草食動物(狩られる側)と肉食動物(狩る側)であるということです。

シマウマ(狩られる側)はライオンに、死角の外から襲われるのが何よりも恐ろしいのです。
そのため、不意打ちを避けるために、広い視野になりました。

一方で、ライオンは獲物までの距離を正確に認識できた方が、狩りには便利です。
そのため、視野の広さはそこそこに、視覚の重なる部分(右目と左目で見える)を増やして、相手への距離感をハッキリと認識できるようにしたのです。

いつも思うことなのですが、動物というのは、体の機能や仕組み一つとっても、合理的な理由があることが多いのが面白いですよね。

猫の視力はどのくらい?

よく猫の視力はそれほど良くないと言いますよね。
実際のところ、彼らの目からはどのように見えているのでしょうか?

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

遠くを見たりするなどの、視力の良さに関しては、人間に軍配が上がります。
猫は平均して、0.3程度の視力しかありません。
猫目線で世界を見ると、かなりぼやけた世界に見えることが分かりますね。

猫の色覚・彩度はどうなの?

冒頭でも紹介したように、人間は虹を見れば7色以上の色の違いを認識することができます。
それでは猫はどうなのでしょうか?

▲画像引用:kittyshow.com
▲左:人間の視界、中央:猫の視界、右:モノクロ

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

色覚に関しては明確な違いが分かりますね。
結論から言うと、猫は赤系統の色を認識できないのです。
紫や青、緑、黄色は見えますが、赤、オレンジ、茶色などの赤系統の色と言うのは猫にはグレーっぽく見えるのですね

更に、彩度(色の鮮やかさ)の感じ方も人間とは違います。
色の識別こそできるものの、猫の世界では色というのはそれほど鮮やかに見えるものではないようです
その中でも、紫・青・緑というのは、猫にとって強く認識できる色なのですね。

猫の距離感(ピント)はどうなのか?

ここまでで、単純な猫の視力自体はそれほど良くないことが分かってきました。
それでは、遠くのものに焦点を当てる力(ピント)はどうなのでしょうか?

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

これもやはり、人間の方がくっきりと見えますね。
猫はかなりの近視だということが分かります

ただ、近視は必ずしも猫にとって不都合なことではありません。
近くのものさえ見ることができれば、獲物の狩猟には何ら困ることはないからです。
実際、猫の動体視力は人間とは比べ物になりません。

▲猫さんの動体視力がいかに優れているか。その一端が伺えますね。

猫は暗がりではこう見える(暗視野)

猫は夜行性動物であるため、暗がりの中でも活動するのが得意です。
暗がりの中では、以下のように見えます。

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

このように、人間視点では暗くて見えにくい場所でも、猫視点ならくっきりと見えます。
猫は、人間が世界を見るのに必要な、6分の1程度の光量があれば、見ることができるようです

更にもっと暗い場所の場合、以下のように見えます。

▲画像引用:nickolaylamm.com
▲上が人間の視界、下が猫の視界

人間視点ではほとんど見えなくても、猫視点なら見えますね。
暗闇でも猫の目が良く見える理由は、タペタム(輝膜)にあります
タペタム(輝膜)という反射層が、鏡のような役割を果たしており、とても効率よく光を集めるのです。

なんと、タペタムがあることで、現代の正確な計測器の多くが計測不可能なほどのわずかな光でも集められるようです。
よく暗がりの中でネコさんを写真に納めると、目がキラッとしている写真になりますよね?
暗がりで撮っても目が輝いているように映るのも、タペタムがある為なのです。

こういった暗視機能があるからこそ、夜行性動物として、夜に狩りをすることができるのです

 

猫の視覚・色覚を科学的に理解する

猫は赤系統の色が見えず、緑や青といった色は認識できることがさきほど分かりました。
それでは、「なぜ赤系統の色が見えないのか?」や「暗いところではよく見えるのか?」などの疑問について、科学的な理由をまとめていきます。

まず、私たち人間や猫が、色彩を感じることができるのは「錐状体(すいじょうたい)」という視細胞があるためです。
この錐状体が多いほど、明るい場所での視力や色の区別がよくできます

猫は私たちの10分の1程度しか、錐状体がないことが分かっています
更に、猫の錐状体の多くは緑色を感知するもので、他には青色を認識するものが僅かにある程度です。
よって、緑~青に至るまでの色などは見えるものの、赤系統の色はほとんど見えないのですね。

その代わり、猫には桿状体(かんじょうたい)が人間より多くあることが分かっています。
桿状体とは、簡単に言うと、光の明暗を判別するのが特異な細胞です。
この細胞があればあるほど、弱い光でも鋭敏に集光することができるため、暗闇の中でものを見るのが得意になります。

また、桿状体は動くものを捉える能力(動体視力)にも重要な影響を与えます
ネズミなどが視界の中で素早く動いても、それを見失わないで済むという点でも、桿状体は重要な役割を果たしているのです。

猫の視界まとめ

猫にとって色彩や遠くを見る視力というのは、それほど必要のない情報。
どちらかというと、暗闇の中でもよく見えたり、視界の中を動くものを捉える動体視力が生きていく中では必要。
そのため、先述したような世界の見え方になったのです。

 

猫によって好きな色・嫌いな色は違う?

猫の目からは、それほど色を鮮やかに捉えることができないのが分かりました。
ただ、だからといって猫が色に対して一切執着を見せないかと言うと、そうではないようです。

どの色が猫に好評なのかは、猫次第な面が大きいようですが、青や黄色、緑、紫などは猫にも認識可能な色です
そのため、どの色が好きなのかは、これら4つの色を試してみるのが良いかもしれません。

一方で赤色は猫には識別できませんね。
ただ、これは個人的な体験談なのですが、わたげ(私の愛猫)は、赤と近い「ピンク」に明らかに強く反応する仔でした
赤こそ識別できないのかもしれませんが、ピンクは猫によっては見えているのかもしれませんね。

いずれにせよ、どの色が猫のお気に入りかは、猫次第な側面が強いようです。
よって、一概には言えませんが、青や緑色のおもちゃなどを試してみるのが良いのではないでしょうか?

 

まとめ

猫の見ている世界、そして色覚はいかがだったでしょうか?
私たち人間とは、色々な面で違うことが分かりましたね。

もしお家の仔の好きな色を知りたいのであれば、何種類かのリボンや紐を買ってくるのがおすすめです。
その中で一番興味を惹く紐があれば、それがその子にとってのお気に入りの色なのでしょう。
おもちゃなどもそれに合わせた色を買ってくると良いかもしれませんね。

参考:sciencewindowkittyshow.comVCAnickolaylamm.com

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この記事を書いた人

島崎 塁(ミツバ)
ペットショップ、ペットホテル、猫カフェで店員をしていました。仕事とプライベートでの飼育経験から得た猫に関する知識を、余すところなく公開していきます。

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