わたげの最期(愛猫の最期)

私にとって今これを書くのは、簡単なことではありません。
ハッキリ言ってなるべくなら避けたいです。
ただ、細かな記憶はすぐに忘れ去ってしまうものです。
だからこそ、まだ記憶が鮮明に残っている今の内に、その時の記録を残しておこうと思います。

今回はわたげがどのように、最期を迎えたのかを記していきます。

わたげは私の愛猫ラグドールで、2017年1月19日生まれの猫です。
そして、その命を2019年1月17日で終えました。
1歳11カ月と、とても若かったのです。
猫の平均寿命で語れば、まだまだ元気に暮らせるはずでした。

どこから書けばいいでしょうか。
まずはわたげが「尿路疾患・腎不全・膀胱炎」を回復した時のことから、書くとしましょう。

 

2018年11月3日~2019年1月13日

▲1月に入ったころのわたげ。
いつも私が起きるのを、目の前で待っててくれました。

わたげの最後をお話しするためには、この経験を避けて通ることは出来ません。
2018年10月後半~11月中旬ごろまで、わたげは「尿路結石・腎不全・膀胱炎」を併発していました。
その時の経験談は「こちら」から読むことができます。
投薬治療と外科手術によって、腎不全以外は治りました。

記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。

当時わたげの腎不全はステージ2の診断を貰っていました。
腎不全はステージ1~4まであり、数字が大きくなるほど重いものとなっていきます。
ステージ2はまだ特別な治療などはせずに、日常を送れるレベルでした。

ただ、水分をこまめに摂取するため、ごはんを腎不全対策のウエットフードへ切り替えました。
そして、定期的な検診をするため、次は2019年の2月に来るように言われていました。

それから1カ月ほどは、1日3食(缶詰1.5缶)をあげていました。
ただ、味に飽きてきたのか、1カ月程すると、食いつきが悪くなりました。
そこで、腎不全用のドライフードを用意すると、食べるようになりました。

ただ、ウエットフードは水分補給のためにも重要であるため、缶詰を1日1缶(朝夕)+ドライフードを置いておくというスタイルに変更しました。

それからまたひと月ほどすると、変化が現れました。
食欲が明らかに落ち、排便の回数が目に見えて減ったのです。
元々手術後、食欲が落ち込んで2日に1回の便だったのが、3日に1回の便になったのです。
これはまずいとなり、病院に行くことにしました。

ちなみに、この時には運動能力も顕著に落ちていました。
普段軽々とジャンプして乗っかていた机に、ジャンプして乗ろうとしたら、失敗して落ちてしまったのです。
その時は「足を滑らせたのかな。わたげ大丈夫か!(笑)」くらいに軽く考えていましたが、今考えると、紛れもなく筋力が衰えていたのだと思えます。
今まで一気に上まで登りきっていた階段を、途中で一息入れるようになったのも恐らく同じ原因なのだと思います。

2019年1月13日の夜中、私が寝る前にベッドに腰掛けていると、わたげが私の方へ近寄ってきながら、今まで聞いたことのない「クゥーン」という、ひどく悲しげで高い声を出して、すり寄ってきたのを今でも覚えています。
猫は自分の死期が近いことを悟ると、いつもと違った鳴き声を出して甘えてくることがあるようです。
今考えると、あの時の鳴き声とスリスリ行動は、そういうことだったのかもしれません。

 

1月14日

朝になって目を覚ますと、いつも横で私の姿を見張っているわたげの姿がありませんでした。
探してみると、わたげは扉の前で体を丸めて、じっと辛抱しているような様子でした。

部屋の扉を開けると、わたげは下の階へ歩いていきます。
ですが、どこか足取りがおぼつかなく、ふらふらとした印象があります。
このような歩き方はこれまでで初めてのことでした。

そして、朝私が起きてから行くところ、行くところ全てに付いてきていたわたげがこの日に限っては、一切付いてきませんでした。
お風呂場の前で体を丸めて、じっとしているのです。

私が仕度を整え、すぐにわたげをキャリーケースに入れて、動物病院へ向かいます。
獣医さんの診断は「重度の脱水状態」とのことでした。
腎不全は2カ月で末期のステージ4にまで進行しており、体温もかなり低かったようで、状態としてはかなり危なかったようです。
入院しないと危ないということだったので、その日は入院をすることになりました。

頭が真っ白になりました。
普段からわたげの飲水量やご飯の給餌には気を使っていました。
「なぜこんなにも早くステージ2からステージ4になってしまったんだろう」というのが正直なところでした。

入院をしてどうなるのか?わたげはもう良くなることはないのか?
そんな気持ちがグルグル頭の中で巡り巡っていました。
正直、わたげの命はあとどれくらいなのだろう?とも考えていました。

よく分かりません。
ただ一つ言えるのは、その時は入院しないと彼の命が危なかったということです。
その日は一旦入院して、今後の方針などはまた※2日後に決めることとなりました。
※翌日は病院が休診日だったため。

 

1月15日

この日は病院は休みでしたが、電話がかかってきました。
入院中の電話というのは、基本的には何か良くない連絡と相場が決まっています。

電話の内容は、以下の通りです。

  • わたげには腹水(お腹に水が溜まっている状態)、黄疸(体の組織が黄色くなっていくこと)の症状が現れている。
    →FIPの疑いが強いため、その検査をします。という報告
    →検査結果は17日か18日に返ってくる。
  • ご飯を自分から一切食べないため、最悪の場合、鼻から管を通して、ごはんを流し込む処置をするか?

要点としては、上記の2点でした。

ひとまず、管を通すことに関しては、断りました。
これは私の個人的な考え方なのですが、「病気の回復などがほとんど見込めない状態で管を通してご飯を流し込むのは、ただ辛いだけではないのか」と思うからです。
そういった希望がほとんどない中、苦しめるようなことはしたくありませんでした。

そしてFIP(猫伝染性腹膜炎)について。

猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因と症状、余命や予防対策とは

私のこの時の正直な感想は、「よく分からない」というものでした。
いえ、FIPについてはよく理解していました。
FIPにかかった猫はほぼ100%助からないということも。
そして、発症から亡くなるまでの平均中央値が14日程度と、非常に短いことも。

話を聞いて理解はしているし、状況が分かっていないわけでもありませんでした。
ですが、その時の状況というのが中々うまく飲み込めませんでした。
ただ、電話を切って少しすると、涙で溢れました。

 

1月16日

▲お見舞いに行った時のわたげ
とてもやせ細って、体も一時的に起こすので精一杯でした。

病院が開いている日なので、朝一でお見舞いに行きました。
酸素室のなかにいるわたげは非常に小さく、体を起こすのも大変そうでした。
顔を触ってあげると、少し気持ちよさそうにしてから、またすぐにそっぽを向いてしまいます。
いつものわたげです。
違うのは場所と、彼が非常に弱々しく見えることだけです。

やはりご飯は食べないようで、獣医さんや看護師さんたちから強制給餌をしてもらっていたようです。
ただ、腹水などもあって、ほんとに少量ずつをこまめに貰っていました。

夕方になって、再度お見舞いに行きました。
やはり状況は変わりません。

その夜寝る前に、よく考えた末に、わたげを引き取ることを決めました。
命が長くないのであれば、最期は心安らぐ自宅で看取ってあげたいと考えたのです。

 

2019年1月17日(わたげの命日)

朝一で病院に行き、先生にわたげを引き取ることを告げました。
家で打つ点滴などを準備してもらうため、わたげを引き取るのは夕方となりました。
わたげの様子を見ると、前日より弱っており、ほとんど前足しか動かせないような状態になっていました。

夕方、わたげを引き取ります。
引き取る前に、点滴の打ち方などの指南を受けます。
診察台に乗せられたわたげは、「病気など知らん」とでも言うように、いつものように台から降りようとします。
前足しか動かせない状態になっていたため、落ちたら頭から落っこちてしまいます。

体がほとんど動かないにも関わらず、普段と変わらない強気なわたげの姿勢に思わず笑みがこぼれました。
先生が点滴の用意をするまで、わたげを抱っこして待っていました。

そして点滴の打ち方を習い、わたげをキャリーケースに入れて、病院を出ます。
少し苦しそうです。
「ごめんね。」と思いつつ、病院を出て、すぐにタクシーを探します。

運悪くタクシーがなかなか見つかりません。
10分ほど探してようやく乗れたタクシーでわたげの様子を確認すると、もう彼の心臓は動いていませんでした。

今でも後悔しています。
なぜ、病院にタクシーを呼んでもらわなかったか。
なぜ、キャリーケースにわたげを入れたのか。(抱っこしてタクシーに乗って良いか聞かなかったか。)

本当に後悔しています。
最期に一目会えたことは幸運だったと思います。
ただ、わたげの最後は自分の腕の中で逝かせてあげたかった。
わたげを飼ってきた中で一番の後悔です。

また、結局わたげはFIPだったのか?と言う点ですが、FIPではありませんでした。
ただ、「ただの腎不全であれば、腹水や黄疸を起こすことはないようなので、何かしらの感染症にかかっていたと考えられる」というのが獣医さんの意見でした。

ひとまず、これがわたげの最期の一部始終です。

 

ありがとうわたげ

わたげにありがとうと伝えたいです。
私の元へ来てくれてありがとうと。
本当に可愛い仔でした。
わたげと過ごした時間はとても楽しく、何よりも大切で、何にも代えられないかけがえのないものでした。

正直今でもまだ彼の姿を家の中に探してしまいますし、カーテンが揺れたりすると、わたげの姿を見てしまったりすることがあります。
まだ立ち直るのには時間がかかりそうです。

ここまで悲しい気持ちになることと言うのは、他にはないのだと思います。
ただ、今のこの悲しい気持ちが時間と共に薄れていくのかと考えると、それはそれで寂しい気持ちになります。

すぐに立ち直ることはとても出来そうにないですが、天国からわたげがいつものように私を見張っていると考えると、悲しんでばかりもいられないなと思います。
きっと彼はいつものように私のことを見張っていると思うので、彼の期待を裏切らないためにも、少しずつ努力していこうと思います。

この記事を書いた人

島崎 塁(ミツバ)
ペットショップ、ペットホテル、猫カフェで店員をしていました。仕事とプライベートでの飼育経験から得た猫に関する知識を、余すところなく公開していきます。

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6 件のコメント

  • ミツバさん、はじめまして。私は生まれた時から実家に猫がおり、ずっと猫たちと暮らしてきた者です。去年の11月から、自分で初めて猫を飼い始めました(今までは親が飼っていました)やんちゃで噛み癖の強い、甘えん坊なベンガルのオス猫です。イタズラされたりして悩む事が多く、ミツバさんのこちらのホームページを参考にさせて頂いておりました。その過程で拝見したわたげちゃん、元気かな?と思い、久々にホームページに来てみた所、まさか亡くなっていたなんて…号泣です。ミツバさん、大変でしたね。私も今まで数匹の猫たちの最期を見てきましたので、お辛い気持ちをお察しします。見ず知らずの私の言葉で何とかなる事では無いとわかっておりますが、元気を出して下さい。
    とりあえず私は、ミツバさんのホームページを応援しておりますし、これからも参考にさせて頂きます!

    • くこ様

      コメントありがとうございます。
      ネコワラ管理人のミツバでございます。

      ベンガルちゃんはやんちゃで遊び好きな子が多いから、一筋縄では行かない場合もありますよね。
      ただ、そんないたずらっ子ぶりが愛おしかったりするものなんですよね(^^)

      くこ様の温かいお言葉、本当に有難く感じます。
      今もまだわたげのことを思い出しては涙が出るような状況ですが、それでも前を向いて歩いていこうと思います。
      今後も頑張って更新を続けるので、これからもよろしくお願いします。

      繰り返しになりますが、温かいお言葉本当にありがとうございます。
      どんな励ましの言葉よりも、嬉しかったです。

      • ミツバさん、わざわざお返事を頂き、ありがとうございます。勝手に感情移入し、励ましの言葉なんて出しゃばりかなぁ…と思いながらも、猫好きな私としては 他人事とは思えず…。

        私のベンガル君は、今日で8ヶ月になりました。噛み癖とキックで悩んでますが、成長を温かく見守ろうと思っています。

        最近粗相を発見してしまったので、こちらのホームページを参考に メガトレーを買おうと思ってます!これからも応援しています。ありがとうございました!

        • くこ様

          こちらこそご返信ありがとうございます!
          お心遣い深く感謝いたします。

          8カ月だと、まだまだやんちゃ盛りで、大変さと可愛さが合わさった時期ですね。
          何かわからないことや困ったことなどありましたら、コメント欄でいつでもご連絡ください。
          出来る限り、ご相談に乗らせて頂ければと思います。

          それでは失礼いたします!

  • はじめまして 我が家の猫も11月にFIPと診断され2月4日に1歳6ヶ月で虹の橋に行ってしまいました
    ご自身の猫ちゃんの最後を思い出しながらブログを書いてくださるのは本当に簡単にできる事ではないと思いますが、 私は日に日に弱く小さくなっていく猫ちゃんをみながら 最後はどうなってしまうのか不安で 不安で猫の看取りの本を読んだり猫の最後を書いてくださるネコワラさんのようなブログに大変助けて頂きました。 同時期に闘病されていたようなのでコメントさせて頂きたくなってしまいました
    わたげちゃんのご冥福をお祈り致します
    今度は健康な身体でまた生まれてきてね

    • 染五郎様

      ネコワラをご覧いただきありがとうございます。
      管理人のミツバでございます。

      染五郎様の愛猫ちゃんのご冥福をお祈りします。
      そして、染五郎様の気持ちもお察しいたします。
      普段から一緒にいた仔が日常から見えなくなってしまうのは、本当に辛いですよね。。
      私が言うのも変ですが、気持ちが落ち込んでしまうことも多いと思うので、ご無理なさらないようにしてください。

      FIPは本当に怖い病気ですよね。
      何か良い治療法などが確立されれば良いのですが。。。

      わたげの最期を書くことについては、正直勇気がいることでした。
      ただ、こういった猫関連の情報発信を行っている以上、避けてはいけないと考えました。
      やはり猫を飼うというのは、楽しいことだけでなく、大変なことや、悲しいこともあることなので。

      結果的に、この記事が染五郎様の心の一助になっていたなら、それこそ私とわたげにとって本当に救いになります。
      この度は、コメント本当にありがとうございます。

      ミツバ

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