あなたは自分の死期が残り数時間だとしたら、それを事前に知りたいですか?
世界には不思議な猫もいるもので、その内の一匹はなんと「人の死を予知すること」ができると考えられています。
今回はそんな不思議な力を持った三毛猫、オスカーについて紹介していきます。
目次
人間の死期を予知する猫「オスカー」
▲病院内を徘徊するオスカー
2005年に生まれたオスカーは、死を予知する猫として世界的に知られています。
オスカーはアメリカ北東部、ロードアイランド州にある特別養護老人ホームにいるセラピーキャットです。
普段のオスカーは老人ホームの中を徘徊し患者を観察したり、窓際から外を眺めるといった日常を送っています。
そんな生活の中、彼は時折、患者の寝ているベッドの上で一緒に寝ることがあります。
そして、オスカーが寝始めたベッドにいる患者は、数時間以内に死亡してしまうのです。
奇妙なことにその現象は度々確認され、2010年1月時点では50人、2015年3月時点では100人の死亡を予測したと認識されています。
通常であれば、猫が自分の近くでゆっくりしてくれたらとても嬉しいものです。
ただ、その猫がオスカーだとちょっと不安になってしまいますね(^^;)
オスカーによる死の予知の正確性を印象付ける一つのエピソードがあります。
老人ホームスタッフが一人の患者の差し迫った死を確認していたが、オスカーはその人と一緒に座ることを拒否し、代わりに廊下を渡った先の部屋にいる患者の元に座ったのです。
そして、オスカーの選んだ人が先に亡くなったことで、彼の予知はまたしても正しかったことが証明されます。
患者のいるベッドでオスカーが眠りにつく行為は、彼の老人ホームでは、死の絶対的な指標として医師やスタッフから認識されています。
実際にその行為が認められた場合、スタッフは患者の家族に連絡を取り、最後の面会を推奨するようです。
オスカーは彼が近くにいることで、亡くなりゆく患者を独りにせず、最後の癒しを与えているのかもしれません。
彼は人の死を予知すると考えられている一方で、彼自身も2013年11月に死の危機に瀕したことがありました。
オスカーは深刻なアレルギー反応を起こし、数秒間心臓が止まったのです。
しかし、幸運なことに獣医師が即座に蘇生処置を行い、鼓動を戻すことに成功しました。
2015年3月時点では、オスカーは完全復活を果たし、セラピーキャット、そして死期を看取る役割を続けているようです。
オスカーの「死の予知」に対する信憑性について
▲オスカー、とっても可愛い!
ここまで読んでいただいた方の中には「いやいやそんなの嘘でしょ」と思う方もいるでしょう。
私としては「こんな正確なデータが出ているんです!」と反論をしてみたいところなのですが、残念ながら、科学的なデータなどは出ていないようです。
元々オスカーが取り上げられたのは、2007年に発刊されたニューイングランドジャーナル誌の記事を通してのことです。
記事を発刊したのは、オスカーのいる特別養護老人ホームに勤務するデイビッド・ドーサ医師です。
彼が世に送り出した記事は注目を集め、後に2010年には本が出版されるまでとなりました。
ただ、研究として世に出たオスカーについての記事の実態は、実際のところ「研究」と呼べる類のものではありませんでした。
いわばオスカーによる「死の予知」に対しての科学的な正確性、根拠や研究は一切なかったのです。
科学的な研究であれば、例えば以下のような質問がパッとひらめくでしょう。
- オスカーは死の瞬間、数分以内、または数時間以内にそこにいるのか?
- 彼は患者が死ぬ直前にぶらりと立ち寄ったのか?
- 彼は死に瀕した患者すべての近くにいたのか?それとも一部の患者が亡くなる際に、彼が近くにいたのか?
こういった質問に対する、科学的に確かなデータはないのです。
つまり、彼の発表した研究とは、論文の類ではなく、個人的なエッセイと表現できるものだったのです。
オスカーの持つと言われる「死の予知」がどれほどのものなのかは、実際に彼や彼を見守ってきた周りの人にしかわからないということですね。
オスカーが人の死を予知する理由・仕組みは?
仮にオスカーが本当に死に瀕している人を見分ける、何らかの能力を持っていると仮定しましょう。
その場合、彼の能力にはどんな説明ができるでしょうか?
ここでも残念ながら科学的なデータはないのですが、いくつかの説が考えられています。
死の匂いを感じ取っている説(フェロモンや細胞の死滅臭など)
オスカーの研究(個人エッセイ)を発刊したドーサ医師は、オスカーの死の予知能力の秘訣を以下のように推測しています。
”オスカーは死に瀕している人の細胞から放出されているフェロモンのような何かを嗅ぎ分けているのではないか”
言わば、オスカーは余命いくばくもない人の「死の匂い」を嗅ぎ分けることができるという説ですね。
補足しておくと、猫は人間が嗅ぎ分けることができない「フェロモン」を検知することができます。
猫の変顔として有名な「フレーメン反応」もフェロモン検知による反応です。
もしかしたらオスカーは、私たち人間に分からないレベルでの死の匂いを嗅ぎ分け、その匂いがする患者がいる場合に、彼らの近くで最後の癒しを提供しているのかもしれないですね。
周りの人間の微妙な反応を検知している説(クレバー・ハンス現象)
死に瀕している患者がいる場合、医師やスタッフはその患者に対して集中的に治療を行うでしょうし、患者自身の行動の変化(ほとんど動かなくなるなど)も現れるでしょう。
そして、そういった周囲の微妙な変化などに気付いたオスカーが、その患者の近くでくつろぐという説です。
かつて「クレバー・ハンス」と呼ばれた馬がいました。
1800年代に現れたハンスは、読み書きや、計算の才能ができると考えられました。
実際のところ、ハンスはトレーナーによる無意識の合図(正解の際に前のめりになる、トレーナーの表情の変化など)を読み取って、正解を選んだりしていたのでした。
警察犬による臭気選別なども、こういったクレバー・ハンス現象が起きることはあるようです。
このように、死に瀕している患者を見分けているというよりかは、患者の動きや周囲の反応などにより、患者の死期を予知していると考えられる可能性もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
皆さんはオスカーの死期予知(判別?)能力が本当にあると思いますか?
科学的な根拠は出ていませんが、個人的に私はオスカーの話は真実だと思っています。
猫は私たち人間の理解を超えてくる生き物だとも思っていますし、こういったミステリアスな一面を持っていると想像した方が楽しいですしね(^^)
参考サイト:ロイター通信、The New York Times Magazine、seeker、NCBI、Mirror
画像引用:streerehouse.org
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