猫から人にうつる病気があるのはご存知ですか?
近年は猫ブームの影響もあって、多くの人が猫を飼い始めています。
以前よりも猫が身近な存在になったこともあってか、中にはキスなどのコミュニケーションをしている人もいるようです。
ただ猫は人にうつる病原菌を持っていることがあります。
そんな猫と同じ食器を使ってたり、頻繁にキスをしたりしていると危険な病気にかかってしまうこともあるのです。
そこで今回は、猫から人にうつる病気(人獣共通感染症)を紹介していきます!
猫と生活を共にする方は一度目を通すことをおすすめします。
目次
猫から人にうつる病気まとめ!
猫ひっかき病
バルトネラヘンセラという細菌が原因です。
野良猫も合わせると、日本全国40%ほどの猫が、バルトネラヘンセラを保菌していると言われています。
感染猫にひっかかれたり、噛まれたりすることで、唾液が体内に入ることで症状が現れることから「猫ひっかき病」という名称になりました。
通常は傷口の腫れ、リンパ節が腫れるなどの症状のあと、3~10日ほどで自然治癒します。
免疫不全の方の場合は、重症化する場合もあります。
- 猫への感染ルート:感染猫からのノミ伝達
- 人への感染ルート:ノミの伝達、感染猫からの噛み傷、引っかき傷
- 猫の症状:変化なし
- 人の症状:患部の腫れ、リンパ節の腫れ、食欲不振
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疥癬症
ヒゼンダニというダニが原因です。
疥癬の原因となるヒゼンダニは人間に取りつくことはあっても、長く寄生はできないので、放っておけば自然治癒します。
ただ一時的に赤いポツポツ(発疹)が出て、強いかゆみが起こります。
発疹はアレルギー性皮膚炎と診断されることもあるため、病院で診てもらう際は、必ず猫を飼っていることを伝えましょう。
- 猫への感染ルート:ダニを媒介とした接触感染
- 人への感染ルート:ダニを媒介とした接触感染
- 猫の症状:強いかゆみ、脱毛、かさぶた、フケ
- 人の症状:強いかゆみ
ネコノミ
放し飼いをしていて予防薬を使用していない場合、猫の体毛に高い確率でノミが潜みます。
ノミは人に長く寄生することは出来ませんが、それでも一時的に強いかゆみを引き起こすことがあります。
フロントラインなどの予防薬を使うことで、効果的な予防ができます。
- 猫への感染ルート:草むらに潜むノミ、感染猫からの接触感染
- 人への感染ルート:接触感染
- 猫の症状:強いかゆみ、吸血による貧血(猫伝染性貧血症)、瓜実条虫
- 人の症状:強いかゆみ、赤いポツポツ(発疹)
瓜実条虫(サナダ虫)
瓜実条虫(サナダ虫)とは、ノミにくっついている寄生虫です。
瓜実条虫がくっついているノミをグルーミングなどで体内に取り込むことで、猫は感染することがあります。
大きな症状は現れませんが、猫の糞便やお尻で虫が動いているのが見えることがあるなど、とても気持ち悪いでしょう。
ノミを介して寄生するため、ネコノミ予防をすることが大切です。
- 猫への感染ルート:感染ノミの経口摂取
- 人への感染ルート:感染ノミの経口摂取(ノミを潰した手でご飯を食べるなど)
- 猫の症状:無症状、下痢、排泄時のかゆみ
- 人の症状:無症状、(小児の場合)下痢や腹痛
トキソプラズマ症
トキソプラズマ・ゴンディという寄生虫が原因です。
トキソプラズマは様々な動物に寄生・潜伏できますが、数を増やすことができるのは猫の体内のみという特徴を持ちます。
基本は感染しても無症状ですが、妊娠中の方と免疫不全の方は、トキソプラズマ症にかかると重い症状になりやすいので注意する必要があります。
- 猫への感染ルート:ネズミ、豚肉を生で食べるなど(経口感染)
- 人への感染ルート:豚肉を生で食べる、感染猫の糞を触った後にご飯を食べるなど(経口感染)
- 猫の症状:基本は無症状、発熱、倦怠感など
- 人の症状:基本は無症状、発熱、倦怠感、妊婦が感染すると流産や赤ちゃんに先天的な障害がある可能性
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回虫症
回虫症の原因は白いミミズのような寄生虫(回虫)です。
肉眼でも確認できる大きさで、猫の糞便の中から発見されることがあります。
野良猫はほとんどの確率で持っており、ブリーダーやペットショップ経由の子猫も持っていることがあります。
子猫は回虫が原因で弱ることも多いため、発見されたら早期対処が必要です。
人へは猫の糞便を片づけた手でそのままご飯を食べたりすることで、感染することがあります。
- 猫への感染ルート:卵の経口感染、母猫の母乳からの感染
- 人への感染ルート:卵の経口感染
- 猫の症状:軟便、嘔吐、下痢、食欲不振、栄養失調
- 人の症状:発熱、嘔吐、食欲不振、てんかん様発作、ブドウ膜炎
真菌症
カビの仲間の真菌が原因で、いわゆる「水虫」のことです。
野良猫、ブリーダーやペットショップ経由の子猫は、真菌症の可能性があります。
感染猫を媒介として、他の猫にも移ることが多いため、多頭飼いの場合は感染猫を隔離する必要があります。
適切な処置をすれば治りますが、治るまでに1~4カ月ほどかかることもあります。
また人の場合、基本的には感染猫と接触しても感染しません。
ただ免疫力が弱まっている場合や、不潔にしていると感染してしまうことがあります。
- 猫への感染ルート:感染者や感染猫との接触感染
- 人への感染ルート:接触感染
- 猫の症状:かゆみ、ふけ、円形脱毛、発疹、かさぶた
- 人の症状:かゆみ、ふけ
パスツレラ症
猫の唾液や爪に存在する、パスツレラという細菌が原因です。
猫の80%以上がこの菌を保菌していると考えられています。
基本は患部の痛みなどで終わりますが、傷が体の奥まで到達すると、骨膜の壊死を招いたり、肺炎など重症化することもあります。
- 猫への感染ルート:口腔内常在菌
- 人への感染ルート:噛み傷や引っかきから体内へ侵入、唾液などの経口感染、飛沫感染
- 猫の症状:特になし、まれに肺炎
- 人の症状:患部の痛み、腫れ、発赤、まれに血流や心臓弁の感染による重大な合併症
サルモネラ症
サルモネラ菌と言う細菌が原因です。
ミドリガメ・トカゲ・ヘビなどの爬虫類が、多く保持している菌として知られています。
河川、下水、土壌などにも広く分布しており、猫も保菌率は10~20%程度あるとみられています。
人に感染すると、5~72時間後に食中毒や発熱と言った症状が出てきます。
- 猫への感染ルート:下水、感染ネズミなどを通しての経口感染
- 人への感染ルート:接触感染、経口感染
- 猫の症状:無症状、下痢
- 人の症状:無症状、下痢、嘔吐、発熱、急性胃腸炎
ジアルジア症
ランブル鞭毛虫(猫ジアルジア)という原虫が原因です。
感染猫の糞便に含まれている、シスト(卵)を経口摂取することで感染が広がります。
人に感染すると、腸管内に寄生するジアルジアが激しい下痢を引き起こします。
- 猫への感染ルート:グルーミングなどによる経口感染
- 人への感染ルート:経口感染
- 猫の症状:成猫の場合無症状が多い、子猫は重症になりやすい
- 人の症状:無症状、下痢
Q熱
コクシエラ・バーネッティというリケッチア(細菌とウイルスの中間の性質をしめすもの)が原因です。
オーストラリアの畜場で原因不明の「Query Fever(不明熱)」と呼ばれたことから、今でもQ熱と呼ばれています。
人の場合、14~26日ほどの潜伏期間を経て、風邪のような発熱といった症状が現れます。
- 猫への感染ルート:ダニを媒介とした感染
- 人への感染ルート:感染猫の糞便、ダニの尿糞などの飛沫感染
- 猫の症状:無症状
- 人の症状:風邪のような発熱、頭痛、倦怠感、胸の痛みなど
エキノコックス症
エキノコックスという寄生虫が原因です。
人間に感染すると、5~20年という長い潜伏期間を経て発症します。
放っておくと、90%以上の高い死亡率を誇る恐ろしい病気です。
日本では主に北海道で感染が確認されていますが、埼玉でも症例の確認がされたようなので、北海道住まいでなくとも油断はできません。
※特に北海道に住んでる方は、猫の定期的な検便と駆虫が推奨されます。
- 猫への感染ルート:感染ネズミの捕食
- 人への感染ルート:感染猫の糞便に含まれる虫卵の経口摂取
- 猫の症状:下痢
- 人の症状:黄疸、重篤な肝障害、高い死亡率を誇る
クリプトスポリジウム症
クリプトスポリジウムという原虫が原因です。
猫の場合、大抵は無症状で終わりますが、人にうつると4~7日の潜伏期間を経て、激しい腹痛と下痢などを引き起こします。
- 猫への感染ルート:汚染水、食べ物、感染動物の便内のオーシスト(卵)の経口摂取
- 人への感染ルート:汚染水、食べ物、感染動物の糞便からオーシストの経口摂取
- 猫の症状:無症状、子猫は水っぽい下痢も
- 人の症状:激しい腹痛、下痢、発熱、吐き気、嘔吐
【基本的な予防対策】猫から病気をもらわないためにできること!
ここまで猫から人にうつる病気を紹介してきました。
それではこういった人獣共通感染症に感染しないために、どんなことができるのでしょうか?
基本的な対策としては以下になります。
- 猫の室内飼い
- 部屋を清潔に保つ
- 猫に触れた後、トイレ片付け後の手洗い
- 猫の爪切りを定期的にする
- 猫と食器の共有をしない(猫がなめた後のものを食べない・使わない)
猫から人に感染するのは、「唾液」「引っかき傷・噛み傷」「フケ・皮膚」「糞便」という4つの大きな感染源があります。
上記で挙げている対策を取れば、大抵の感染症は予防できるでしょう。
猫のワクチン接種は定期的に
今回は猫から人に移る病気に焦点を当てて紹介してきましたが、猫も様々な病気にかかります。
猫がかかりやすい猫風邪などのいくつかの病気は、混合ワクチンの定期的な接種をすることで、事前に予防することができます。
混合ワクチンは1年に1回打つことで効果が継続します。
定期的に打っていない場合は、かかりつけの獣医さんの元に連れて行って打つようにしましょう。
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いざと言う場合の保険も
猫が病気になってしまい、重症化した場合に備えて、ペット保険に入っていますか?
ペット保険は任意の保険ではありますが、いざという時の治療費を賄ってくれる心強いものです。
普段から猫の治療費を溜めているという方以外は、安いものでもいいので入っておくようにしましょう。
個人的にはお金にそれほど余裕がない人ほど、入っておくことをおすすめします。
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まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は人獣共通感染症として有名な「猫ひっかき病」から、あまり知られていない「Q熱」などまで幅広くまとめてみました。
こうして見てみると、あまり知られていないだけで、猫から人にうつる病気が数多くあるということが分かったのではないでしょうか。
一昔前と比べて猫と人の距離がより近くなったからこそ、こういった知識は身に着けておきたいものですね。
猫に感染する可能性のある寄生虫に関して、より詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
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