【獣医師監修】生後2ヵ月~3ヵ月の子猫のご飯のあげ方!ふやかし方や量、回数に注意を

子猫を育てる際に最も大切なのが、ご飯のあげ方です。 ただ「ふやかしご飯の作り方やいつまでふやかしなのか?」とか、「1日与える量や回数」など色々と分からないことは出てくるものですよね。

そこで今回は、日々ペットショップで子猫のお世話をしている私が、子猫のご飯のあげ方のあれこれについて紹介していきます。

大森貴裕獣医師 AVOS共同代表
東京農工大学農学部獣医学科卒業、同大学博士課程在籍。 現在は、大学にて二次診療・研究活動を行ないながら、関東近県の動物病院にて循環器専門診療を担当。 モットーは「ペットと暮らす全てのご家族が幸せな生活を送れるよう、獣医師としてできることを全うする」

はじめに

子猫を飼い始めると、実際どんな風に世話をすればいいのか分からなくなることがありますよね。 特にご飯は1日にあげる回数や量、ご飯のふやかし方など、考えることが色々あります。

そんな中飼ってる猫がご飯を食べないなんてことになったら、本当に焦りますよね。 私も飼ってる猫が、子猫だったときに一度だけご飯を食べなくなったことがあったのですが、それはもう焦ったものです(´Д`)

そこで「実際使える知識」、具体的にどうしたらいいのかを一つずつ紹介していきます。 子猫を迎えたものの、ご飯のあげ方などについて忘れてしまったという方は是非読んでみてください

 

【画像で分かる】子猫用ふやかしご飯の作り方!

子猫は生後1カ月半くらいから、徐々にご飯を食べるようになっていきます。 そして生後3カ月半くらいまでは、ふやかしご飯を食べさせる必要があります

ただそもそもの話、ふやかしご飯ってどうやって作るのが正しいのでしょうか? ここではふやかしご飯の作り方を、画像付きで紹介していきます。

ふやかしご飯って何? ふやかしご飯とは、ドライフードにお湯をかけて、柔らかくしたご飯(ふやかしたご飯)のことです。 人間の赤ちゃんが食べる「離乳食」のようなものです。
ふやかしご飯の作り方:

▲ごはんを餌皿によそいます。 画像の餌の量は20gちょっとです。

80℃くらいのお湯を、ご飯の量と同じくらい注ぎます。(目安としては、ごはんがお湯でひたひたになるようにする感じです。) 「同じ量のお湯をかけたら多すぎるんじゃないか?」と思う方もいると思いますが、ドライフードはかなりお湯を吸うので、問題ありません。

▲ラップなどで15分ほど蒸らして、その後余熱を取ります 急いで冷ましたい場合は、5分ほど冷蔵庫に入れて、混ぜ合わせても大丈夫です。 また栄養を多めにしたい場合はこの時点で、子猫用ミルクのパウダーや栄養剤をかけておいても大丈夫です。

▲ご飯がふやけて、人肌くらいの温度になったらあげましょう。 この時、実際に指で触れてご飯の温度を確認して下さい。 人の手で「熱いかな?」と感じる場合、子猫は食べるのを嫌がってしまいます。

ミルクパウダーや栄養剤をかけた場合は、必ず混ぜ合わせましょう。

▲混ぜ合わせるとこんな感じになります。 生後1ヵ月半~2ヵ月位の子の場合、もっと形がなくなるまでふやかして混ぜ合わせた方が良いです。

▲いただきます(゚д゚)ウマ- 私の飼っている猫は、現時点で生後7ヵ月なので体大きいです。 生後4カ月以内の子猫のときは、必ず食べ終わるまで見届けるようにしましょう。 中には、何らかの原因からご飯を食べない子もいるので、そうなった場合は注意が必要です(詳しくは後述)

以上がふやかしご飯の作り方です。

※ふやかしご飯を与える時期は、基本「生後1ヵ月半~3ヵ月半」位までです。 生後3ヵ月を過ぎたら、ふやかしご飯にカリカリの状態のドライフードも混ぜ合わせましょう。 問題なく食べるようであれば、そのままドライフードだけに変えてしまって大丈夫です。

 

子猫のご飯の量と回数は?

子猫にご飯をあげる際に「どのくらいの量をあげればいいのか?」「1日何回あげればいいのか?(回数)」はかなり気になりますよね。 それぞれ分けて解説していきます。

子猫のご飯の量:

1日にあげるご飯の量は、子猫の体重と月齢によって決まってきます。 フードパッケージの裏に目安量が書いてあるため、その量を参考にしましょう。 ※フードパッケージに記載してある量よりも、少し多めにするのがおすすめです。

ただ生後1カ月半~3ヵ月ほどの子猫であれば、基本的に1日50g与えれば問題ありません。 また計りなどを持っていない場合は、「1日に与えるご飯の量=猫の頭の大きさと同じ量」が適量と覚えておいてください。

 

子猫のご飯の回数:

続いて1日に与えるご飯の回数についてです。 子猫にご飯をあげる回数は、朝昼晩の3回がおすすめです。 子猫は1回で吸収できる栄養量が少ないため、1回にあげる量を少なく、そして回数を多くした方が良いのです。

ただ私の働くペットショップもそうなのですが、ほとんどのペットショップは1日2回です。 実際のところ、1日2回でも全く問題ありません。 ただ1日2回にする場合は、しっかり食べているかなどを、より注意して見る必要があります。

子猫に置き餌はダメ! 餌を置きっぱなしにしてる人は少なくないと思います。 確かに成猫であれば、置き餌でも食べれば良いのですが、子猫の場合は危険です。 子猫は意外とご飯を食べないこともあり、1食でも食べないと、私たち人間が3日間何も食べていない状態と同じような状況になってしまうからです。 そのため子猫のときは、必ず食べ終わるまで見届けるようにしましょう。

 

子猫におすすめのご飯は?

子猫に与えるご飯は、大きく2つの種類に分けられます。

  • 成長前期用:生後1カ月半~4カ月まで
  • 成長後期用:生後4カ月~1年まで

このページで紹介しているのは、成長前期の子猫へのご飯のあげ方です。 基本的にご飯のメーカーはどこでも良いのですが、必ず自分の猫の月齢に合ったものを買いましょう。

子猫用ごはんでおすすめなのは、「ロイヤルカナン」です。

ロイヤルカナン FHN マザー&ベビーキャット 母猫・子猫用 2kg【成長前期】

味と栄養価が良く、値段もそこまで高くないのが特徴です。 さらに粒が小さいので、子猫でも食べやすい仕様となっており、獣医師の立場からも勧められる商品となっています。 またペットショップや、大型スーパーなどでも大抵置いてあるため、入手しやすいのも嬉しい点ですね。

ブリーダーさんでも、ロイヤルカナンを与えている人は多いようです。 何をあげれば良いか分からず困っているなら、まずはロイヤルカナンで問題ないでしょう。

 

子猫がご飯を食べない時はどうすればいい?

子猫によっては、ストレスや何らかの原因からご飯を食べなくなることがあります。 肌感覚ですが、ペットショップでも10匹中2~3匹くらいの子猫は、多かれ少なかれご飯の食いつきが悪くなったり、食べなくなることがあります

「置いておけば食べるでしょ。」と思うかもしれませんが、とんでもありません。 真面目な話、どうにも食べようとせず、衰弱死してしまう子も中にはいます。 だからこそ、子猫がご飯を食べようとしない時の対処法は知っておく必要があるのです。

子猫がご飯を食べないときは順番に下記の対策を取りましょう。

  1. 違うドライフードをふやかして与える(味を変えてみる)
  2. ふやかしたご飯にカロリーエースなどのミルク成分が濃いもので味付けする
  3. ふやかしご飯にウェットフードを混ぜてあげてみる
  4. カルカンなどのウェットフードだけをあげる(食事量が少ない場合は、ミルクや栄養剤なども使う)
  5. シリンジなどを使って、強制給餌をする(難しい場合は⑤に進む)
  6. どうしても食べない場合は、獣医さんに栄養剤などを注射してもらう(栄養剤の補液)

ご飯を食べない場合、①から順番に試しましょう。 中には好き嫌いからご飯を食べない子もいるので、そういった場合は①や②の段階で食べるようになるでしょう。 ③まで試せば、80%くらいの子猫は食べるようになります

ただ中にはどうしても食べない子もいるため、そうした場合は獣医さんに連絡する必要があります。

ふやかしは嫌い?大人びた子猫も中にはいる 生後2カ月~3カ月半ほどの子猫は、ふやかしご飯を食べるのが一般的です。 ただ中には大人びているのか?ふやかしご飯を好まず、あまり口にしようとしない子もいます。 そういった子の場合は、ドライフードをそのまま出してみると、意外と食べるものです(笑)

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恐怖!ご飯を食べないと起こる低血糖(栄養失調)

気をつけたい病態として「低血糖」があります。 これは文字通り血糖値が低い状態のことで、簡単に言うならば「栄養失調」のことです。 低血糖はご飯を食べなかったり、食いつきが悪い子猫によく起こるため、子猫時代は特に注意が必要な状態です。

具体的な症状としては、「ぐったりする」「歯ぐきが白い」「低体温」です。 低血糖を起こした猫は一見、寝ているかのようにぐったりしています。 ここで重要なのは、低血糖の状態では意識レベルが低く、こちらからの呼びかけや動作に対する反応が乏しいということです。 てんかんのような痙攣を引き起こすこともあります。

実際に抱いてみると首は据わっておらず、耳はとても冷たくなっており、歯ぐきが通常では考えられないほど白っぽくなります。 これらはいずれも、血液の巡りが悪くなっていることが関与しています。

低血糖は放っておくとかなり危険で、そのまま亡くなってしまう子もいます

応急処置として、ガムシロップやハチミツを歯ぐきに塗るようにして飲ませましょう。 ガムシロップを飲ませることで、血糖値が上がり一時的に状態が良くなります。 また体温も低くなっているため、湯たんぽやエアコンなどで温かい環境を作ってあげるのも大切です。

そしてすぐに獣医さんに連絡して、指示を仰ぎましょう。

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まとめ

子猫にご飯をあげるのは飼い主にとって至福の時間です。 ただ子猫はご飯を食べないと本当に危険なので、必ず食べ終わるまで見ているようにしましょう。そして食べない時は、必ず何かしらは食べさせるようにしましょう。

また子猫の飼い方や、飼い始めの注意点などについても紹介しています。 気になる方はチェックしてみてください。

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photo credit:Big Ben in Japan by Sumi won’t let Mai eat her cereal in peace.

獣医師 大森先生
獣医師からの一言

子猫の成長にとって栄養管理は最も重要です。 なぜなら日に日に大きくなる子猫の体は常にエネルギーを消費(代謝)しているからです。

一方で、歯が揃っていなかったり、胃腸の大きさや働きが不十分なため、子猫は一度に多くのご飯を食べることができません。

だからこそ、1日に複数回ご飯を食べているかどうか、確実にチェックしておくことが必要です。

1食でも口にしない/したがらない時には、今回紹介したような方法で工夫しながら積極的に与えなければなりません。

また、低血糖が疑われる際は、すぐに対処しないと手遅れになることがあり、即時連絡できる動物病院を事前に探しておくと良いでしょう。

特に、夕方〜夜に子猫がご飯を食べないからといってそのまま放置するのは絶対にやめて下さいね!

参考文献

この記事を書いた人

島崎 塁(ミツバ)
ペットショップ、ペットホテル、猫カフェで店員をしていました。仕事とプライベートでの飼育経験から得た猫に関する知識を、余すところなく公開していきます。

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