糖尿病はかなり多くの猫がかかる病気です。
全ての猫のおよそ0.5~2%程度が、かかると言われています。
そこで今回はそんな猫の糖尿病の症状や原因、治療方法などについて詳しく紹介していきます。
目次
猫の糖尿病とは
そもそも糖尿病とは、血液中の糖の値(これを通称血糖値と呼びます。)が高い状態によって起こる様々な症状のことを指します。
血液中の糖は正常である場合、膵臓から分泌されるインスリンと結合することで、細胞にエネルギーとして取り込まれます。
血糖値が高いということは、糖をうまくエネルギーに変換できていないということです。
また血液中に糖が多いと、「エネルギー不足から体が疲れやすい」「血液がドロドロになるため、免疫も弱くなり病気にもかかりやすくなる」などといった問題があるのです。
糖尿病の具体的な症状としては、以下が挙げられます。
- 喉の渇き
- 排尿の増加
- 体重減少
- 食欲の増加
- 白内障
- 腎不全
- 神経障害(後ろ足の震えなど)
以下の傾向が見られたら糖尿病の疑いありです!
- 猫が水をかなり飲むようになった
- 以前より食欲が増して食べる量が増えたにも関わらず、痩せてきた
- 急に食欲が増した
猫の糖尿病の種類
糖尿病には大きく2つの種類があります。
どんな原因から糖尿病になるかによって、呼び名が変わるのです。
- タイプ1:膵臓が弱まり、インスリンの分泌がうまくいかないことからなる糖尿病
- タイプ2:何らかの原因で、インスリンと糖の結合がうまくいかない糖尿病
猫はタイプ2の糖尿病にかかる子が80%程度で、残りの20%程度がタイプ1にかかると言われています。
そしてタイプ2の原因の多くは肥満などになります。
タイプ1の場合は必ずインスリンを定期的に注射することになりますが、タイプ2の場合は必ずしもそうではありません。
猫の糖尿病の治療については後述しています。
猫の糖尿病は犬の糖尿病と比べると、分かりにくいと言われています。
なぜなら猫はちょっとしたことでも興奮状態になり、血糖値の値が高くなってしまうのです。
つまり病院など普段と異なる落ち着かない場所では、糖尿病でなくとも血糖値が高くなることは充分に考えられるのですね。
猫の糖尿病の原因
猫の糖尿病の主な原因は以下になります。
- 肥満
- 高齢による基礎代謝の低下
- 遺伝的要因
- 膵炎
1つずつ詳しく見ていきましょう。
肥満
肥満は猫の糖尿病の最も一般的な原因です。
肥満だと通常の5倍ほど、糖尿病にかかりやすくなるとも言われています。
肥満の元である脂肪は、「アディポカイン」というホルモン物質を出します。
このアディポカインという物質は、インスリンがうまく働かなる原因になり得ます。
こういった点から、肥満は糖尿病と強い相関関係があります。
肥満になりやすい去勢・避妊手術後の猫の体重管理には気をつけるようにしましょう。
高齢による基礎代謝の低下
どうしても若い時より、年齢を重ねてからの方が糖尿病にかかりやすくなります。
人間と同じく猫も年を取るにつれて、体の機能が弱まってくるからです。
膵臓が弱ると、どうしてもインスリンの分泌量も少なくなります。
すると、必然的に糖尿病にはかかりやすくなってしまうのです。
上記の表は、アニコム損保の調査した「年齢×性別毎の猫の糖尿病のかかりやすさ」をグラフに表したものです。
表を見る限りでは6~7歳ごろから、糖尿病にかかる猫の率が急上昇しているのが見て取れます。
またオスの方がメスに比べて、糖尿病にかかりやすいということもわかると思います。
遺伝的要因
猫種によって、糖尿病にかかりやすい品種がいます。
糖尿病にかかりやすい猫種の例としては、「バーミーズ」「トンキニーズ」「ノルウェージャンフォレストキャット」「ロシアンブルー」などが挙げられます。
上記で挙げられている猫種の子を飼っている場合は、特に気をつけるようにしましょう。
膵炎
インスリンは膵臓から分泌されるものです。
その膵臓が膵炎などによって弱ってしまうと、当然インスリンも分泌されにくくなります。
そのため膵炎などの、膵臓の病気が原因で、結果的に糖尿病になりやすくなるのです。
猫の糖尿病の予防
糖尿病は様々な要因からなるため、「こうしておけば糖尿病にはかからない!」という確実な予防方法はありません。
ただ主に下記のことを意識することで、糖尿病にかかりにくくすることは出来ます。
- ドカ食い・早食いの禁止
- 適正体重の維持
1つずつ詳しく見ていきましょう。
ドカ食い・早食いの禁止
人間でもそうですが、早食いやドカ食いによって大量のインスリンが分泌されるようになります。
これは猫も同じで早食い・ドカ食いの習慣は大量のインスリンを分泌することにつながります。
大量のインスリンが分泌されると、ひとつひとつの細胞のインスリンに対しての反応が鈍くなります。
こうして巡り巡って、糖尿病になってしまうのです。
対策として、最近では早食い防止の食器なども売っているため、飼い猫が早食いをして困っている方は試してみてください。
※早食い防止食器(Amazon)
また食事を小分けにして、1日3・4回ご飯を与えるようにすることもおすすめです。
適正体重の維持
糖尿病と強い関係を持つ肥満にならないようにすることは、結果的に糖尿病を予防することにつながります。
猫の場合、遺伝的な要因などから、糖尿病にかかりやすいということもあります。
ただ肥満にならないようにすることで、多少なりとも糖尿病予防になります。
糖尿病にかかった猫の余命は?
糖尿病は完治すること自体それほど多くありませんが、病気と向き合うことで十分に猫を長生きさせることはできます。
中には猫の平均寿命と言われている、15歳を無事に越す子も多いようです。
そのため糖尿病の場合は、獣医さんの指示のもと適切な治療を受けるようにしましょう。
糖尿病は、アニコム損保の家庭どうぶつ白書でも言っているようにお金がかかる(治療費については後述しています)ため、保険には入っておくことをおすすめします。
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糖尿病の猫の末期はどんな感じ?
猫の糖尿病が末期になると、合併症などが出てきます。
主な合併症としては、腎不全や白内障、また神経障害などから寝たきりになり動かなくなってきます。
猫の糖尿病の治療
猫が糖尿病にかかっていることが分かった場合、主に以下の3つを治療として行うことが多いです。
- インスリン注射
- 慎重なダイエット
- キャットフードの変更(療法食への切り替え)
1つずつ詳しく見ていきましょう。
インスリン注射
糖尿病の原因は大きく分けて2つ。
インスリンが何らかの原因で分泌が少ないか、うまく機能していないかのどちらかです。
そのためインスリンの分泌が少ない場合などは、外部からインスリンを投与(注射)することになります。
ただ猫によってはインスリン注射をせず、ダイエットや食事の変更のみを行うこともあるようです。
インスリンの投与量が多すぎたりすると、低血糖を起こしてしまうことがあります。
必ずインスリンの投与量は、獣医さんと相談して決めるようにしましょう。
万が一インスリン注射後にぐったりしている場合(猫が低血糖だと思われる場合)は、ガムシロップを歯ぐきに塗るようにしましょう。
慎重なダイエット
肥満の猫は糖尿病にかかりやすいです。
そして糖尿病の原因となっていることも多いため、明らかに肥満の場合は慎重なダイエットによって適正体重に戻すことをします。
また適度な運動療法も体内の血糖値を下げたり、脂肪を減らすために行われることもあります。
キャットフードの変更(療法食への切り替え)
飼い猫が糖尿病になってしまった場合は、糖尿病対策がなされているフードに切り替えるのも一つの手です。
ロイヤルカナン【糖コントロール(Amazon)】や、プリスクリプション・ダイエット【w/d(Amazon)】などが販売しているものがあります。
獣医さんにどれが良いかを聞いてみるのもありでしょう。
猫の糖尿病の治療費は?
猫が糖尿病になり、インスリン注射を定期的に打たないといけなくなった場合、やはりどのくらいお金がかかるかは気になりますよね。
結論から言うと、どの程度かかるかは猫の症状やかかる病院によって異なります。
ただ一般的な傾向としては、治療初期に特にお金が多くかかり、平均すると月に1~4万円程度かかることが多いようです。
参考として、アニコム損保が発表している家庭どうぶつ白書2016では、糖尿病にかかった猫の年間平均治療費を162,454円としています。
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まとめ
猫の糖尿病は分かりやすい傾向が少ないため、普段から愛猫の様子に変わったことがないか注意するようにしましょう。
治療をしないと危険な病気ですが、適切な治療を受けることで長生きすることも十分に可能です。