猫にとって大変危険な病気の一つに、急性腎不全が挙げられます。
急性腎不全は発症してからすぐに気づいて、治療をすることがとても大切です。
今回はそんな急性腎不全の症状や原因、治療方法などを紹介していきます。
急性腎不全ではなく、慢性腎不全について知りたい場合はこちらから確認できます。
目次
猫の急性腎不全の症状
急性腎不全を理解するには、まず腎臓の仕組みを知る必要があります。
腎臓は体内の血液をろ過するフィルターの役割を持っています。
そして必要なものと、そうでないもの(毒素・老廃物)とに分けるのです。
当然、毒素や老廃物はオシッコとして外に出されます。
これが腎臓の一連の役割です。
この腎臓のフィルターが何らかの原因でうまく機能しなくなったり、毒素・老廃物を外に排出するオシッコが出ない状態になると、体内に毒素・老廃物が残ってしまいます。
この状態のことを「急性腎不全」と言います。
急性腎不全は放っておくと、1日2日で危険な症状に陥ることもある、とても危険な病気です。
回復するには早期発見・早期治療が大切になってきます。
そんな急性腎不全の主な症状(兆候)は以下になります。
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
- 無気力
- 口臭(アンモニア臭)
- オシッコが出ない、もしくは少ない
- 脱水症状
- 発作
- 尿毒症
腎不全には「慢性腎不全」と「急性腎不全」の2種類があります。
慢性腎不全が数カ月~数年ほどかけてじわじわと進行する病であるのに対して、急性腎不全は1日~数日ほどで急激に悪化するのが特徴です。
猫の急性腎不全の原因
猫の急性腎不全の原因は以下になります。
- 毒物の摂取による中毒
- 熱中症
- 脱水
- ケガ
- 腎臓の病気
- 尿道閉塞など
- 心不全
- 心筋症
- 猫伝染性腹膜炎
- 腎炎
- 糖尿病
このように急性腎不全には様々な原因があります。
また毒物とは様々ですが、主に以下のことを指します。
- 不凍液(エチレングリコール)
- 殺鼠剤
- ブドウ
- ユリ科植物
- 人間の薬
- ヘビなどの生物毒
特に不凍液などは、北国ではよく利用されるもののようです。
他にもブドウやユリ科の植物なんかは、日常生活でもよく見かけますよね。
予防のためにも、普段から猫にとって危険なものが家で放置されていないか、確認する必要があります。
猫の急性腎不全の予防策
急性腎不全は様々な原因があるため、完全に予防するのは不可能です。
ただ急性腎不全を防ぐための、いくつかの予防策もあります。
- 猫にとって毒になるものを与えない
- 尿路結石にならないように注意する
- 腎臓病の兆候を学ぶ
1つずつ詳しく見ていきましょう。
猫にとって毒になるものを与えない
猫にとって毒になるものは意外と多いです。
先述した人間の薬や不凍液、ユリ科の植物など様々です。
また人の食事も猫にとっては、決して体に良いわけではありません。
植物などは気付かず、家に飾っていることも多いため気をつけましょう。
尿路結石にならないように注意する
猫が尿路結石などを患うことで、尿道が詰まってしまうとオシッコを出すことができなくなってしまいます。
当然毒素を体外に出すオシッコが出ないと、急性腎不全や尿毒症になってしまいます。
そのため尿路結石にならないように注意することが大切です。
尿路結石の予防法としては、「水分をしっかり摂取すること」、「ミネラル分を控えること」「結石予防フードを猫に与えること」などになります。
結石の兆候などを知りたい場合はこちらから確認できます。
腎臓病の兆候を学ぶ
急性腎不全は早期発見・早期治療がとても大切です。
腎臓に何らかの異常がある場合の症状を覚えておくことで、いざという時に役に立つでしょう。
腎臓に何らかの異常があると、主に以下のような症状が見られます。
- 水分摂取量の変化
- 体重減少
- 嘔吐
- 下痢
- 口臭
こういった症状が見られる場合は、なるべく早く獣医さんに診てもらうようにしましょう。

猫の急性腎不全の治療
猫が急性腎不全にかかっていることが分かった場合の治療方法は以下になります。
また急性腎不全を治療する場合、基本的には1週間程度の入院が必要になるケースがほとんどのようです。
- 対症療法
- 栄養補給
- 原因となっている病気などの治療
【対症療法】
急性腎不全の症状を軽減するための治療です。
具体的には利尿剤や点滴などを投与することで、なるべく排泄を促すことで毒素を体外に出す手助けなどをします。
また重い症状の場合は、血液透析を行うこともあります。
【栄養補給】
急性腎不全にかかっている猫の多くは、嘔吐などによって体力を消耗します。
そのため栄養が豊富な食品を猫に与えることで、体力を補います。
【原因となっている病気などの治療】
急性腎不全になった猫には何らかの原因があります。
原因は様々ですが、結石による尿道閉塞や心不全などを発症していることもあり得ます。
こういった急性腎不全を招いた根柢の原因を治療することで、病気そのものからの回復を図ります。
急性腎不全は、早く適切な治療を受けられれば、回復も十分に見込めます。
ただ危険な病気には変わらず、命を落としたり、回復しても後遺症として慢性の腎不全を患うことがあります。
私の愛猫も泌尿器疾患にかかったことがある?
実は私の愛猫わたげも以前、急性腎不全に代表される尿路疾患になったことがあります。
※正確には尿路結石・膀胱炎・腎不全の併発。
その時は本当に、筆舌に尽くしがたいほど、大変な時間を過ごしました。
約2週間の間、毎日病院に通院するという看病体験をし、更に治療費総額は40万円を超えました。
もうとにかく大変で、精神的にも酷く落ち込んだ生活を送っていました。
その時の体験談を読みたいという方は、こちらをどうぞ。
まとめ
急性腎不全は早急に治療する必要がある危険な病気です。
猫が日常の中に良く置いてある果物や植物を口にすることで、腎不全になってしまうこともあります。
何かいつもと様子が違うと思ったら、すぐに獣医さんに診てもらうようにしましょう。
また猫は急性腎不全だけでなく、泌尿器系の病気がとても多い動物です。
急性腎不全以外にどのような泌尿器系の病気があるか知っておきたい場合は、こちらをどうぞ。