猫が生まれつき持っている疾患(病気)のことを「先天性疾患」と言います。
猫は犬や人と比べると先天性疾患が出にくい動物と言われていますが、それでも中には先天性疾患を持って生まれる子もいます。
今回はそんな猫の先天性疾患の中でも、比較的見られやすい病気について紹介していきます。
目次
猫の先天性疾患とは?
先天性疾患とは生まれつきの疾患のことです。
例えば生まれつき心臓が悪かったり、脚の関節が緩かったりといったものですね。
大抵の先天性疾患は生まれた時か、生まれた直後にはわかるものです。
ただ稀にすぐには分からず、生後かなり経ってから症状が表に現れて分かるケースもあります。
ペットショップやブリーダーから猫を新たに迎えた場合、後から判明した先天性疾患の補償を巡っていざこざが起きるケースもあります。
先天性疾患は遺伝性疾患と混同されがちですが、以下のような違いがあります。
- 先天性疾患:生まれつき持っている疾患
- 遺伝性疾患:遺伝子に由来する疾患(親が持っていて同じように受け継いだなど)
先天性疾患とは生まれたときからその疾患を持っていることを表し、遺伝性疾患とはその疾患の原因が遺伝であるということです。
猫に多い先天性疾患の種類とかかりやすい猫種
猫の先天性疾患は様々な種類がありますが、代表的なものは以下になります。
- 先天性心疾患
- 【骨瘤】遺伝性骨形成異常症
- 多発性嚢胞腎
- 白内障
ひとつずつ見ていきましょう。
先天性心疾患
先天性心疾患とは、生まれつき心臓に異常がある状態のことです。
ひとえに先天性心疾患と言っても、様々な病気があります。
具体的には以下のようなものになります。
- 肥大型心筋症
- 動脈狭窄症
- 房室弁奇形症
- 房室中隔欠損症
- 動脈管開存症
人や犬と比べると発生率はかなり低いですが、猫もまれにこういった先天性心疾患を持って、生まれてくることがあります。
心疾患によって症状は違いますが、主な症状としては以下になります。
- 元気がない
- 疲れやすい
- 息切れ
- 食欲不振
- 咳
- チアノーゼ(舌や唇が青紫になる状態)
場合によっては、外科手術が必要になることもあります。
猫に気になる仕草が見られる場合は、まずかかりつけのお医者さんに診てもらうことが大切でしょう。
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【骨瘤】遺伝性骨形成異常症(スコティッシュフォールド特有の疾患)
遺伝性骨形成異常症とは、スコティッシュフォールド特有の遺伝性の疾患です。
軟骨の形成が上手くいかず、瘤(コブ)のようなものができてしまったり、脚やしっぽの骨が変形してしまう病気です。
骨瘤は「常時痛みを伴う進行性の疾患」と言う点が厄介です。
特に四肢の骨に及ぼす影響は大きく、酷い場合には重度の関節炎などを引き起こします。
そもそもスコティッシュフォールド特有の「折れ耳」も、骨形成異常症によるものです。
この疾患を持っているスコティッシュフォールドは、歩いたりジャンプするのを、関節の痛みがあるため嫌がります。
通常の猫と違い、歩き方がたどたどしいスコティッシュは、大抵この病気を持っていると考えて間違いないでしょう。
また俗に言われるスコ座り(下記画像のような座り方)をスコティッシュフォールドが長い時間続けるのは、普通に座ると関節が痛むからだと言われています。
▲スコ座りをするスコティッシュフォールド
症状が表に出てくるのは、生後4カ月頃からのことが多いため、ペットショップやブリーダーさんからお迎えした後にこの疾患が判明するケースも多いようです。
スコティッシュフォールドのお迎えを考えている場合は、こういった裏事情があることもよく理解しておく必要があるでしょう。
一応症状を改善するためのサプリメントとして「アンチノール」というものもあるようです。
スコティッシュフォールドは折れ耳同士での交配が禁じられています。
なぜなら折れ耳同士のスコの子供は、高い確率で骨関連の異常が見られるからです。
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
多発性嚢胞腎とは遺伝性の腎臓病で、先天性腎疾患のひとつでもあります。
腎臓に嚢胞(嚢胞液という液体が入っている袋)がたくさんできる病気で、3歳以降になってから症状が出てくるケースが多いようです。
主な症状としては以下になります。
- 尿の量が増える(初期症状)
- 水を飲む量の増加(初期症状)
- 食欲不振
- 体重減少
- 頻繁な嘔吐
- 息切れ
- 尿毒症(末期症状)
徐々に嚢胞が大きくなっていき、腎機能が悪化していくため、最終的には慢性腎不全と同じような症状が起きてくる病気です。
明確な治療方法はありませんが、多発性嚢胞腎の場合、症状を遅らせるためになるべく日頃から水分摂取をしっかりして、療法食を与えていくのが大切です。
飼っている子が多発性嚢胞腎か気になる場合は、生後10か月を過ぎると、遺伝子検査や超音波検査をすることができます。
白内障
白内障とは瞳の水晶体が白く濁っていき、視力が低下する病気です。
視力の低下に伴って、歩いている際に机や椅子などにぶつかりやすくなったりもします。
主な治療方法としては、初期症状の場合は症状を軽くするために薬を使ったり、目薬の点眼を行います。
ただ症状が重く、状況の改善が期待できる場合は、手術をする場合もあります。
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ペットショップと先天性疾患
私は現在ペットショップに勤めているのですが、ペットショップではお客様に犬猫をお譲りする際に、必ず契約書の確認を行います。
大抵どのペットショップでも、契約書には「先天性疾患」の項目があるでしょう。
先天性疾患(生まれつきの疾患)と言っても、お渡しした後に判明するケースもあるためです。
そういった、お渡し後に判明した場合の対応方法について、契約書には記載されています。
ただ実際のところ、お渡し後に先天性疾患と判明しても、補償の条件が厳しかったりするケースは多いです。
なのでこれから猫をペットショップで受け取る予定の方は、「こんなの聞いてない!」ということにならないように、契約書はきっちりと確認し、分からないところは必ずスタッフに確認することをおすすめします。
※ペットショップの裏側について詳しく知りたい場合は、併せてこちらの記事を読むことをおすすめします。
先天性疾患に保険は使えない?
「先天性疾患に保険が適用されるかどうか?」は保険会社によって異なります。
基本的に先天性疾患には保険が適用されません。
保険はいくつかのケースでは適用外になることもあるため、加入前に「どんなケースで保険が使えないのか?」を理解しておくことをおすすめします。
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まとめ
猫の先天性疾患は犬や人と比べて少ないですが、注意する必要はあります。
特に猫は疾患を持っていても、習性から隠そうとして気付いた時には手遅れになっているというケースもあります。
そういったことにならないように、普段から様子を注意してあげるようにしましょう。