「猫を飼ってみたら、2匹目も欲しくなっちゃった。」こういった考えを持つ方は多いです。
やはり1匹だと昼間仕事などから人がいなくなると、留守番時に1匹で暇な時間が多くなってしまいますからね。
そのため多頭飼いを考える方が多いのですが、ちょっとお待ち下さい!
多頭飼いの生活が実際どんなものなのか、また多頭飼いをする際に大切なことや、仲良くするためのコツなどを、多頭飼いの代表スペースともいえる猫カフェで働く私が紹介していきます。
目次
まずはじめに
多頭飼いをするにあたって、最悪なケースをまずお伝えさせていただきます。
もちろん多頭飼いは本当に素晴らしいことなのですが、場合によって以下のようなケースになることもあり得るということをまず知っておいて欲しいのです。
私の働いている猫カフェには、1匹だけ大の猫嫌いな子(老猫)がいます。
人と接するのは本当に好きなのですが、他の猫が近づいたりすると、フシャーと威嚇をしてしまいます。
その子は元々猫カフェにおらず、一般家庭で育てられた猫なのですが、訳あって猫カフェに来ることになりました。
来た当初から常に他の猫に対して威嚇をしてしまい、時間が経った今でも、他の猫に対して執拗に威嚇をしています。
場合によってはあなたの猫が同じような状況になってしまうこともあり得ます。
多頭飼いの難しいのは、一度飼い始めたら「やっぱりやめた!」とできないことです。
だからこそ上手くいくように、事前準備や相性を吟味することが大切になってきます。
猫の多頭飼いのメリット・デメリット
多頭飼いと一口に言っても、メリットもあれば、デメリットもあります。
それぞれどんなメリット・デメリットがあるか紹介していきます。
メリット
猫を多頭飼いするメリットは以下になります。
- 仲良しができる可能性!
- 猫同士で遊んでくれる
- 噛み癖が治ったり、弱まる
- 昼間寂しい思いをさせずに済む
どれも分かりやすいメリットだと思います。
やはり一番のメリットは、仲良くなれば猫同士で遊んでくれることですね。
どうしても昼間仕事で人がいない環境だと、猫1匹では暇になってしまいますからね。
また多頭飼いをしていて嬉しいのが、噛み癖が治るきっかけになるということです。
仲良しであっても、仲が悪くても、複数の猫が一緒にいれば、じゃれ合いやケンカなどは起こるものです。
その際に相手に噛まれることで、噛まれると痛いということを自然と学習し、そう簡単には噛まないようになるのです。
かまってちゃんの場合も、人間以外の遊び相手ができることで、かなり癖が改善される傾向があります。
デメリット
猫を多頭飼いするデメリットは以下になります。
- 必ずしも仲良くなるとは限らない
- 仲が悪いとケンカになることも
- 費用が増えます
当然のことですが、必ずしも全ての猫が仲良くなるわけではありません。
多頭飼いを始めたばかりの頃に威嚇してしまうのは普通のことですが、ずっとそういった緊張関係が続くこともあります。
実際のところ、飼い猫の最も多いストレスの原因は、多頭飼いによるものだそうです。
威嚇をするだけで終わらず、噛みつきあったり、引っかき合いのケンカになることもあります。
場合によっては流血してしまうこともあるのです。
また多頭飼いをすることで、猫にかかるお金は高くなります。
具体的にどの程度高くなるのかは、後述しています。
どのくらいの確率で多頭飼いは上手くいくの?
多頭飼いをすると、大きく分けて、以下の3つのパターンになることが多いです。
- 元いた猫と仲良くなる:25%
- 元いた猫とあまり絡まないか、そこそこの関係:50%
- 元いた猫と仲が悪い:25%
個人的には②になる可能性が最も高いと思います。
事実、猫カフェにいる子達のほとんどは、仲が良い組み合わせもありますが、大部分が「そこそこの関係」に見えます。
ただ猫カフェのように、もともといる猫たちの数が多いのであれば、そこそこの関係になる可能性も高いと言えますが、1匹→2匹に増えるのであれば、必然仲良くなるか仲が悪いかのどちらかになる可能性が高いように思えます。
続いて多頭飼いをする前に確認しておいた方が良いことや、準備についてです。
多頭飼いをする前の確認・準備!
多頭飼いをする前に確認しておいた方が良いことです。
- 費用や手間が増える
- 多頭飼いするのに部屋は狭くない?
- 老猫は多頭飼いに向いていない
- 猫のトイレは場所を分けて複数設置しよう
費用や手間が増える
多頭飼いをする場合は、金銭的にまず余裕があるかどうかを見直す必要があります。
エサ代はおよそ2倍になりますし、トイレの砂の減りも早くなります。
また子猫の場合は、去勢・避妊手術のお金や保険料、ワクチン代金なども新たにかかることもあります。
他にも予期せぬトラブルに遭った場合の手間や、病院の診療費などもよりかかるようになることもあるでしょう。
必ずかかる固定費としては、毎月5000円ほどかかるエサ代やトイレの砂代などが1万円になるといった感じです。
多頭飼いするのに部屋は狭くない?
猫が一匹増えると、それだけ部屋のスペースが狭く感じられるようになります。
ワンルームのマンションなどに暮らしている場合は、猫2匹以上だとかなり窮屈に感じられるでしょう。
今の部屋に、もう1匹猫が増えてもスペース的に問題がないかを今一度見てみましょう。
老猫は多頭飼いに向いていない
これまで1匹で暮らしてきた老猫に多頭飼いは向いていません。
新しい猫が来ることなどの、「環境の変化」に本当に弱いからです。
子猫や成猫であればまだしも、老猫の場合は多頭飼いを見送った方が良いでしょう。
猫のトイレは場所を分けて複数設置しよう
トイレはいくつか設置するようにしましょう。
2匹飼うのであれば、大きめのトイレを一つ設置するのでも大丈夫ですが、基本的に2つはトイレも欲しいところです。
個人的には以下のような感じで、トイレを設置することをおすすめします。
- 2匹の場合:2つ欲しい(大きめのトイレ1つ)
- 3匹の場合:2つ必要
- 4匹の場合:3つ欲しい(大きめのトイレ2つ)
ただトイレに関しては、いくつ置くかなどは部屋の大きさも関係してくるので、自分で判断しても大丈夫でしょう。
ただ3匹以上の多頭飼いをしていて、1つのトイレしかないなどの状況になると、かなりトイレは汚くなります。
猫は汚いトイレで用を足すことを避けるため、時には別の場所でオシッコをするなど、粗相をしてしまう可能性も高くなります。
トイレを置く場所も1か所ではなく、分けた方が良いです。
猫によってお気に入りのトイレの場所などができてくるため、いくつかトイレがある方がお気に入りのトイレができやすいです。(→リラックスにつながります。)
清潔に暮らせるようにするためにも、トイレは気持ち多めに用意することをおすすめします。
多頭飼いを成功させるための相性やコツ!
多頭飼いを成功させるために知っておくべき相性の良し悪しや、コツはいくつかあります。
私が猫カフェスタッフとして身に着けた、多頭飼いをするにあたって知っておいた方がいいことを紹介していきます。
- 親子・兄弟猫は相性が良い
- 性別は違う方が良い
- 子猫同士での多頭飼いがおすすめ
- 新しく飼う子は子猫がおすすめ
- 運動レベルや性格は似ている子が良い
- 先住猫が過去に猫と触れ合った経験があると上手くいきやすい
親子・兄弟猫は相性が良い
まず初めに、親子・兄弟猫は基本的に仲良くなりやすいです。
ただ親子・兄弟猫の多頭飼いは最初からそうすると決めていないと、なかなか難しいことでもありますよね。
初めから多頭飼いをすると決めていれば、それほどハードルは高くないのかもしれませんが、後から多頭飼いすることを決めたとすると、なかなか実現させるのが難しいのかもしれません。
性別は違う方が良い
多頭飼いをする場合、猫同士の性別は違う方が仲良くなりやすいです。
オス猫を飼っていれば、メス猫。
メス猫を飼っていれば、オス猫と言うことですね。
ただここで疑問になるのが、去勢・避妊をしていた場合のことだと思います。
結論から言うと、去勢・避妊手術を行っている場合は、あまり性別を気にする必要がなく、よりトラブルを起こしにくくなります。
なので基本的にはオス×メスで考えて、去勢・避妊手術をしていれば、それほど性別にこだわる必要もないということです。
子猫同士での多頭飼いがおすすめ
子猫は生まれてからそれほど時間が経っておらず、環境の変化にもすんなりとなじむことができる子が多いです。
そのため子猫同士の多頭飼いは高い確率で上手くいきます。
私はペットショップにも勤めているのですが、ペットショップでは子猫同士を一緒のケージに入れることがあります。
するとほとんどの子達は、少し時間が経つと仲良くなります。
あまり失敗しているのを見ないくらいです。
新しく飼う子は子猫がおすすめ
どんな子を新しく飼い始めるかは、悩ましいところだと思いますが、この点は断然「子猫」がおすすめです。
先住猫が成猫の場合、同じくらいの成猫を新たに飼い始めると、どうしてもトラブルが生まれやすくなります。
ただ子猫であれば、先住猫も相手のことを大きな脅威とは感じないため、先住猫が優位な状況を保ったまま多頭飼いをスタートさせることができます。
運動量や性格は似ている子が良い
多頭飼いをする場合は、同じくらいの運動量や性格を持つ子同士が一緒になると良いです。
基本的には、大きな体を持つ子ほどのんびりする傾向があり、小柄でシャープな体つきをしている子は激しく運動する傾向があります。
例を挙げると、運動量豊富な「シャム」であれば、同じくよく動く「アビシニアン」や「トンキニーズ」などがおすすめです。
あまり動かない「ペルシャ」であれば、同じくゆっくりするのが好きな「エキゾチック」や「メインクーン」などがおすすめです。
運動量だけでなく、性格も似ているとより良いです。
遊び好きな子を飼っているのであれば、同じく遊び好きな子の方が良いですし、ゆっくりするのが好きな子であれば、同じくゆっくりする子がおすすめです。
先住猫が過去に猫と触れ合った経験があると上手くいきやすい
先住猫が子猫のときに、他の猫と触れ合ったり、過ごした経験があると多頭飼いは上手くいきやすいです。
一方ほとんど猫と触れ合うことなく過ごしてきた成猫はどうしても、新しく来た猫を脅威と考えてしまいやすいです。
実際私の猫カフェにいる猫嫌いな子も、猫と触れ合うことなく育ってきた子です。
仲良くなるためのコツ
どんな子を新しく飼い始めるか選んだあとは、実際に猫たちを会わせたり、仲良くなるかを見守っていく段階になります。
具体的な対面の方法や、仲良くするためのコツを紹介していきます。
対面のさせ方
多頭飼いを始めるにあたって、やっぱり緊張するのが初めて会わせる瞬間ですよね。
結論から言うと、初対面はほぼ「緊張状態(威嚇)」になります。
ただこれはどんな子の場合でもそうなるので、それほど気にする必要はありません。
とは言えやはり初対面であっても、なるべく穏便に自己紹介をさせたいものですよね。
実は対面のさせ方には、おすすめの順序があるのです。
- 新しい猫が家に来ても、まずは別々の部屋にする
※部屋がない場合は、ケージ越しなどでの対面にする - お互いに使っているベッドやおもちゃなどを交換する(匂い交換)
- お互いに安心できる環境がある状態で、自由にさせる
- お互いに自由な状態で、おやつなどを与える
- ある程度のケンカなどをしても、3・4日するとなじんでくるはず
大まかに分けると以上のような対面方法になります。
まずは別々の部屋で、過ごさせ、それぞれが使っているベッドやおもちゃを交換しましょう。
こうすることで、相手の匂いに慣れ、自分以外の猫がいることが分かります。
お互いの匂いを認識させたら、いざ対面です。
初めての対面の際は、ケージ越しなどで会わせるようにしましょう。
いきなり自由な状態で会ってしまうと、お互いにかなり緊張状態になってしまいます。
ケージ越しでも初めは威嚇すると思いますが、徐々に慣れてくるので、少ししたら自由な状態で会わせるようにします。
この段階でもどちらかが威嚇をしたり、ケンカを売ったりすることが多いです。
一緒にいる間に、喧嘩などをすることもありますが、基本は介入しないようにしましょう。
ただ流血沙汰になるような大きなケンカの時は、どちらかを別の部屋やケージに戻すことなどが必要になってきます。
ただ大抵の場合は3・4日ほど経ってくると、お互いが存在に慣れてくるものです。
また一緒にいる間に、おやつなどを使って、お互いの機嫌を良くするようにしましょう。
基本的には猫同士の関係にあまり介入せず、放っておくことで存在に慣れていくものです。
場合によっては、ひと月ふた月単位で気長に仲良くなることを待ちましょう。
爪は切る
お互いに対面をさせる前には爪を切っておくようにしましょう。
初めは強めのじゃれ合いやケンカをすることが多いです。
爪が伸びている状態だと、どちらかが怪我をしてしまいやすいです。
それぞれの安心できるスペースを作る
猫は大きく分けて、高所派と低所派の子に分かれます。
一般的に低い場所を好むのは立場の強い子が多く、高い場所を好むのは立場の弱い子が多いです。
猫を多頭飼いするうえでとても大切になってくるのは、それぞれ立場の強い子、弱い子用にスペースを作ってあげることです。
具体的には高さの異なる台を設置したり、キャットタワーや天井近くにキャットウォークを作るのがおすすめです。
高い場所、そこそこ高い場所、低い場所でそれぞれ休める場所があれば、自然とどこかしらでリラックスできるようになってきます。
私の働いている猫カフェでも、あまり他の猫と関わるのが好きでない子は高い場所でゆっくりしていることが多いですし、他の猫ともよく遊ぶ子は低い場所にいる傾向が強いです。
餌の横取り注意!ごはん皿は別々に
多頭飼いを始めたら、餌のやり方は気をつける必要があります。
ご飯をあげる際は、必ず別のお皿であげるようにしましょう。
1つのお皿に、2匹分のご飯を載せるのはおすすめできません。
場合によっては、猫同士でそれぞれ取り合いのような状態になってしまうからです。
お皿を分けることで、それぞれ快適に食べることができます。
どうしても多頭飼いがうまくいかない場合は
どうしても多頭飼いがうまくいかない場合は、部屋を分けることも一つの案になります。
それほど部屋が少ないのであれば、それぞれがリラックスできるスペースを作って、大きなケンカをした時に、ケージに入れるなどの対処をする必要があるでしょう。
ただ多頭飼いは長い場合は1カ月や2カ月かけて相手の存在に慣れていくものなので、なるべく気長に待っていてあげるようにしましょう。
まとめ
多頭飼いは上手くいけばとても素敵なことですが、必ずしも上手くいくわけではありません。
少なくともずっと1匹で育てられてきた老猫の場合は、失敗する確率がとても高いので、多頭飼いは見送った方が良いでしょう。
事前の準備や相性を見極めて、上手くいくようにアシストすることが大切ですね(^^)
犬との多頭飼いに関しては、こちらを参考にしてみてください。